PF-JPA
 
【政府】

【司法制度改革審議会】

司法制度改革審議会 第54回議事概要

日 時:平成13年4月6日(金) 13:30〜17:35
場 所:司法制度改革審議会審議室
議 題:「利用しやすい司法制度」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」について
 
会議経過(抜粋)
【専門的知見を要する事件への対応強化(専門委員の参加制度など)】
・専門委員の参加制度について、裁判所の中立・公平等に十分配慮しつつ、専門性の種類に応じて個別に検討し、導入を図るべき。
・専門家の関与が必要な分野があることは否定できないが、専門家の選び方、関与の仕方によっては、司法判断がブラックボックス化するおそれもある。
・裁判官の判断が、専門家の判断に依存しすぎるおそれにも留意すべき。
・専門委員制度は、当事者が知りえないところでは、争点整理の補助、和解の担当・補助、調査・意見陳述や証拠調べへの関与を行わないし、当事者の反論・反証の機会も保障するものであり、導入に問題はないのではないか。
・専門家には、一般的・教育的機能のほかに、個別事件における専門的判断の補助機能が求められる。後者を導入する要件は、手続の透明、争う機会の保障が満たされること。
・医事関係事件については、専門委員の参加制度の導入の可否を慎重に検討すべき。
・専門家団体の協力を得て鑑定人名簿を整備することはよいが、実際の選定の際には、名簿以外の鑑定人からも選べるようにすべき。
・弁護士実務からみた現実問題としては、反対尋問や検証を公の場でやることを徹底すると、鑑定人となる専門家が嫌がり、なり手がいなくなる。
・専門家の立場に立つと、鑑定書など文書で意見は出せても、その場で発言させられることには躊躇するということは、理解できる。
・鑑定制度の改善のための医事・建築関係の訴訟委員会は、最高裁事務総局にではなく、第三者機関のような形で設置することも考えられないか。
・行政庁などに置くのは不適切であり、裁判所に置くべき。最高裁とは別に地域レベルでも委員会を置くことを妨げる趣旨ではない。
・分野によっては、鑑定制度の改善以前の問題として、専門家による鑑定書そのものの中立公平が疑われている実態がある。
・実体の方が変わるのを待つだけでなく、司法制度の方から働きかけていくことも重要。 
・専門的知見を要する事件では、何らかの形で専門家の協力を得ないと判断できないことは事実。現状には問題があり、これに対処しなければならない。このため、専門委員の参加制度も含め、専門家の選び方、関与の仕方等につき、当事者の手続保障等に配慮しつつ具体的に工夫していくべきであり、そのような視点に立って、最終報告の表現振りを検討していくことについては、大方の認識は一致しているのではないか。
【知的財産権関係事件(東京・大阪両地裁への専属管轄化など)】
・知的財産権の国際戦略的重要性、利用者である経済界の強いニーズにかんがみ、少なくとも特許・実用新案関係訴訟については、東京・大阪両地裁に専属管轄権とした上で、当事者の利益を害する特段の事情がある場合には、他の裁判所への移送や他の裁判所の自庁処理、あるいは合意管轄による他の裁判所への係属を認めるべき。
・知的財産権関係事件は、技術的専門性が司法判断に不可欠な訴訟の典型である。
・特許と実用新案は、知的財産権の中でも技術的専門性が高い。両地裁への集中度が80%を超えており、他の地裁に比べ体制整備による迅速化傾向が顕著である。
・地方でもベンチャー企業が増えてきている。専属管轄を基本とする場合でも、一部の不便になる人のために、巡回裁判所のような仕組みを工夫してはどうか。
・専属管轄化は、司法の人的基盤を拡充し、地方でも法曹へのニーズが満たされていくという大きな流れに反する面もある。
・知的財産権の国家戦略としての重要性・緊急性を踏まえ、人材を集中投入する必要がある。もちろん将来において、法曹人口増により地方にも専門弁護士が増えれば、専属管轄を見直す余地もありうることは否定しない。
・専門委員の参加制度について、仮に医事関係事件などで速やかな導入が困難であるとしても、国際的な問題でもある知的財産権関係事件に関しては、早急に導入すべき。
・知的財産権については、その専門性、緊急性等にかんがみ、たたき台記載のような方向性で検討すべきことについては、大方の認識は一致しているのではないか。

配付資料
別紙2

「利用しやすく国民の期待に応える民事司法」について
−検討用たたき台−

平成13年4月6日

(抜粋)

2 民事訴訟の充実・迅速化−計画審理の促進・証拠収集手続の拡充による争点整理の促進−

(1) 専門家の活用
  ア 鑑定制度の改善
・鑑定人名簿の整備、専門家団体との連携、最高裁判所に医事関係訴訟委員会・建築関係訴訟委員会の新設など、鑑定人推薦の円滑化を含め、鑑定制度を改善。
  イ 専門委員の参加制度の創設
・各種専門領域における非法曹の専門家(常勤の裁判所職員となる形態を含む)が、その分野の専門技術的見地から、裁判の全部又は一部に関与し、裁判官をサポートする新たな訴訟手続への参加制度(具体的には、例えば、争点整理のサポート、和解の担当・補助、専門的知見を要する問題点に関する調査・意見陳述、証拠調べへの関与)については、裁判所の中立・公平等に十分配慮しつつ、それぞれの専門性の種類に応じて個別に検討し、その導入を図る。
  ウ 弁護士、裁判官の専門性強化等
・専門性強化の見地から、弁護士事務所の法人化・共同化、法曹養成制度の改革や継続教育の充実が重要。

4 知的財産権関係事件への総合的な対応強化

・知的財産権関係訴訟の審理期間を概ね半減することを目標。
・知的財産専門部の拡充、専門性が強化された裁判官や技術専門家である裁判所調査官の集中的投入、新たな専門委員の参加制度の導入など、専門的処理体制を一層強化し、実質的に「特許裁判所」の機能を果たさせる。
・独立証拠調べなど訴えの提起前の時期を含め当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充(再掲)。
・知的財産権関係訴訟のうち、特許及び実用新案等について東京、大阪両地方裁判所への専属管轄化。
・弁理士への特許等の侵害訴訟代理権(弁護士が訴訟代理人となっている事件に限る)の付与を前向きに検討し、その前提として、試験・研修など信頼性の高い能力担保措置を検討。
・弁護士事務所の法人化・共同化等弁護士の専門性強化(再掲)。
・法曹養成・継続教育における専門的教育の充実(再掲)。
・知的財産権関係の判例情報公開・提供の一層の充実。
・工業所有権仲裁センターや判定制度等のADRを拡充・活性化し、訴訟と連携を図る。
・関係機関(関係省庁、裁判所を含む)による連携の強化。その際、知的財産の国際性や政策的重要性にも十分配慮。

7 裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化

  (1) 関係機関等の連携強化

・ADRの拡充・活性化に向けた裁判所や関係機関、関係省庁等の連携を促進するため、関係諸機関による連絡協議会や関係省庁等の連絡会議等の体制を整備。
・訴訟、ADRを含む紛争解決に関する総合的な相談窓口を充実させるとともに、インターネット上のポータル・サイトなど情報技術を活用した連携を図り、ワン・ストップでの情報提供を実現。
・ADRの担い手の確保については、人材、紛争解決等を含む情報の開示・共有を促進(その際、ポータル・サイトも活用)した上で、必要な知識・技能に関する研修等を充実。

  (2) 共通的な制度基盤の整備

・国際的動向をみつつ、仲裁法制(国際商事仲裁を含む)を早期に整備。
・さらに、ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律(いわゆる「ADR基本法」など)の制定をも視野に入れ総合的に検討。その際、たとえば時効中断(停止)効の付与、執行力の付与、法律扶助の対象化等のための条件整備、ADRの全部又は一部について裁判手続を利用したり、あるいはその逆の移行を円滑にするための手続整備等を具体的に検討。
・隣接法律専門職種など非法曹の専門家のADRにおける活用を図るため、弁護士法72条の見直しの一環として、職種毎に実態を踏まえて個別的に判断し、法制上明確に位置付け。なお、72条については、少なくとも、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保するため、何らかの形で明確化。

【規制改革委員会】

規制改革推進3か年計画の概要

平成13年3月30日 閣 議 決 定

(抜粋)

U 横断的措置事項

5 資格制度関係

  (1) 資格制度関係の基本方針
1.業務独占資格については、資格の廃止、相互乗り入れ、業務範囲の見直し等により、競争の活性化を通じたサービスの向上、価格の低廉化、利便向上等を図る。
2.必置資格等については、資格の廃止、必置単位の緩和、業務範囲の拡大、等により、資格者配置コストの低減等を図る。
  (2) 上記方針に基づく措置
各府省は、見直し指針に基づき所管の資格制度につきそれぞれ横断的見直しを行うほか、規制改革委員会の見解の指摘等に基づく措置を講ずる。

V 分野別措置事項

1 法務関係

  (1) 法務分野の基本方針
法曹人口の大幅な増加や弁護士制度の改革によって、国民に利用しやすく分かりやすい司法制度を構築する。
また、取締役制度等会社の機関の在り方について、見直しを行うとともに、民法・商法を平仮名・口語体とする等民法・商法の抜本的見直しを行う。
  (2) 法務分野の重点事項
1.法曹人口の大幅増員等国民が利用しやすい司法制度の実現
2.コーポレート・ガバナンスの改善を含む民法・商法の抜本的見直し
3.企業の資金調達手段の多様化
4.商法に関する電子化の推進
  (3) 個別措置事項(例)
○法曹人口の大幅増員等
○隣接法律専門職種の法律事務の取扱範囲の見直し等
○取締役会及び監査役会の在り方及び株主代表訴訟制度の在り方
○無議決権優先株の発行枠拡大及び優先株発行手続の簡素化等
○トラッキング・ストックに関する制度の整備
○ストック・オプション制度の改善



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