PF-JPA
 
【政府】

規制改革の推進に関する第1次答申

平成13年12月11日
総合規制改革会議

【抜粋】
2  法務
【問題意識】
 法務分野における大きな課題としては、国民が利用しやすい司法制度の確立と事業者の活力ある経済活動を支える法的な基盤整備が挙げられる。
 前者については、法曹人口の大幅増員及び隣接法律専門職種の活用を早急に実現するとともに、企業法務等の位置付けについても検討を行うことが、国民が利用しやすい司法制度の早期確立のために是非とも必要である。
 後者については、現下の経済を取り巻く厳しい環境にかんがみれば、企業再建が円滑に進む環境を整備するとともに、事業者が、自らの事業活動によりふさわしい組織形態を選択できるような法基盤の整備を進め、経済の活性化を図ることが重要である。
【具体的施策】
(1)司法制度改革の推進
 本来市民社会における権利確保や紛争解決の手段であるべき司法が、実際には十分機能せず、行政その他により解決が図られている場合が多い。司法が本来の機能を果たすためには、法曹人口の大幅な増加が不可欠である。また、利用者である国民の需要にこたえる視点から、当面の法的需要を充足させるためにも、隣接法律専門職種の活用が図られる必要がある。これに関連して、さらに、企業法務等の位置付けについても検討を行うことが必要である。
 以上の諸点の幾つかの点については、行政改革委員会の見解以来、規制緩和委員会及び規制改革委員会の見解並びに規制緩和推進3 か年計画及び規制改革推進3 か年計画等の既往の閣議決定において繰り返し指摘されてきたところである。本年6 月には司法制度改革審議会の意見書がとりまとめられ、司法制度改革審議会意見を最大限に尊重して司法制度改革の実現に取り組む旨の閣議決定が行われ、11 月には司法制度改革推進法(平成13 年法律第119 号)が成立し、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとった司法制度改革の実現に向けた体制が整いつつある。当会議としても、規制改革の観点から、司法制度の改革の早期実現に向けてその具体的な作業を注視していく。
ア 法曹人口の大幅増員【平成14 年度より一部実施】
 司法試験合格者数を、年間3,000 人とするため、平成16 年にはその達成を目指すべきとされている1,500 人程度への増員以降、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22 年頃にその達成を目指すべきとされている3,000人程度への増員に向けて計画的かつ早期の実施をすべきである。
 なお、実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、平成22 年頃までに3,000 人程度に増員されても、これが上限を意味するものではない。
イ 隣接法律専門職種の活用等【平成13 年度中に措置】
 隣接法律専門職種のうち、司法書士(簡易裁判所での訴訟代理権)及び弁理士(特許権等の侵害訴訟での代理権)については、早急に所要の権限を付与するための措置を講ずるべきである。
 また、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士など、その他の隣接法律専門職種などについては、その専門性を訴訟の場で活用する必要性や相応の実績等が明らかになった将来において、出廷陳述など一定の範囲・態様の訴訟手続への関与の在り方を個別的に検討することが、今後の課題として考えられる。
ウ 司法試験合格後の民間実務経験者等への法曹資格の付与
 企業法務等の位置付けについても検討を行い、少なくとも、司法試験合格後に民間等における一定の実務経験を経た者について法曹資格の付与を行うための具体的条件を含めた制度整備を行うべきである。
 なお、措置年限については、司法制度改革推進計画策定の過程で検討されることとなる。
エ 弁護士法第72 条の見直し
 弁護士法(昭和24 年法律第205 号)第72 条は、「弁護士又は弁護士法人でない者」は、「報酬を得る目的」で法律事務を取り扱うことなどを業とすることができない旨規定している。その一方、会社形態の多様化が進む中で、例えば、親会社が子会社の法律事務について一定の範囲内で受託できるようにしてもよいのではないかとの意見もある。
 また、隣接法律専門職種の有する専門性を、ADR を含む訴訟手続外の法律事務に関して、もっと活用する余地があるのではないかとの指摘もある。
 したがって、弁護士法第72 条については、少なくとも、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保するため、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め、その規制内容を何らかの形で明確化すべきである。
 なお、措置年限については、司法制度改革推進計画策定の過程で検討されることとなる。
(首相官邸ホームページより抜粋)


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