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【政府】

大企業による権利侵害防止・新法を検討
                   
 2003年に発足した同本部はこれまでに知財高裁の新設、海賊版対策の強化、商標制度の見直しなどを提起。今回、中小・ベンチャー保護を打ち出すことで、国際競争力強化や起業促進につながるとみている。
 特許出願制度の見直しは、米国の「スモールエンティティー制」がモデルだ。従業員500人以下の企業は「自己申告書類の提出」だけで出願できる。米国では2003年に約33万件の特許出願があったが、制度利用は約11万件だった。
 日本にも研究開発型の中小企業を対象にした審査手数料や特許料の軽減措置などがあるが、「対象企業の範囲が不明確」「申請手続きが複雑」と敬遠されがち。同年の日本での特許出願は約41万件だったが、制度利用は約800件にとどまった。
 原案は、軽減措置について「抜本的な利用の拡大を図る」と明記した。
 権利侵害防止では、大企業が中小企業と新規取引を始める際、中小が持つ特許の廉価での利用を条件にしたり、契約終了後に技術を無断転用する事例が少なくないことを踏まえ、「実態を把握、検討し、必要に応じて法律制度を整備する」との方針を明確にした。
 具体的には、どういう場合が大企業による優越的地位の乱用に当たるかが分かる独占禁止法に基づく指針を作成。相談窓口「知財駆け込み寺」も設置する。さらに中小・ベンチャーが大企業相手に権利回復の訴訟を起こす場合の挙証責任や賠償に関する制度改正や新法制定を検討する。
 「大学の技術移転機関(TLO)との連携促進や契約の柔軟化」「知財信託の活用による資金調達の円滑化」なども提示している。

原案の主なポイント
▽ 特許の申請手続きの簡素化、審査請求料などの軽減、対象企業の範囲の拡大
▽ 大企業との知財の取り扱いに関する独占禁止法の新ガイドラインの策定
▽ 権利を侵害された場合の相談窓口「知財駆け込み寺」の新設、訴訟時の大企業への挙証責任の転換と損害賠償制度の見直しに関する新法制定を検討
▽ 大学との連携強化
▽ 知財信託の活用による資金調達の円滑化

この記事は弁政連フォーラム第149号(平成17年4月25日)に掲載されたものです。

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