PF-JPA
 
【日本弁護士連合会】
● 裁判迅速化法 日弁連意見に沿って修正の方向へ
  裁判迅速化法案
日弁連の主張に沿って修正へ
                   

5月13日の衆議院本会議で、裁判迅速化法案が次のような修正と附帯決議で可決され参議院に送られた。この内容は、法案策定段階の日弁連の主張を全面的に受け入れたもので、日弁連が国会提出後も引き続き精力的に要請行動を行ってきたことが結実したものと言える。

[修正案の内容]

○第1条(目的)「この法律は、司法を通じて権利利益が適切に実現されることその他の求められる役割を司法が十全に果たすために公正かつ適正な手続きの下で裁判が迅速に行われることが不可欠であること・・・」を「・・・公正かつ適正で充実した手続の下で・・・」とする。
○第7条(当事者等の責務)第2項「前項の規定は、当事者等(注・当事者、代理人、弁護人を含む趣旨)の正当な権利の行使を妨げるものと解してはならない。」を新設する。
○第8条(最高裁判所による検証)「・・・裁判の迅速化に係る総合的かつ多角的な検証を行い・・・」を「総合的、客観的かつ多角的な・・・」とする。

これらの修正に加えて、別掲のとおりの附帯決議がなされた。

[これまでの日弁連の主張]

裁判の「迅速」と「適正・充実」は同時に実現されるべきで、国民は決して拙速な裁判を望んでおらず、審議会意見書のかかげる「司法基盤の整備」や「制度改革の課題」を確実に実現していくことにつながる法律でなくてはならない。しかし法案は裁判の「迅速化」の面が強調された内容となっており、日弁連は特に次の点を修正すべきと考えた。

(1) 裁判の「迅速」だけでなく、「充実」を
(2) 司法のインフラ拡充と法制度整備・改革の法律に
(3) 当事者の責務の削除を
(4) 検証は、裁判官・検察官・弁護士と、裁判を受ける市民が参加した機関で

[修正・附帯決議に向けた日弁連の活動]

日弁連は、去る3月14日に法案が国会に提出された後も、右の立場から、修正と附帯決議を求め、政党・法務省などと精力的に交渉を重ねてきた。5月7日には衆議院法務委員会で杉井厳一司法改革実現本部事務局長が参考人として日弁連の意見を表明。
このような粘り強い活動が、日弁連の主張を全て取り入れた修正と附帯決議につながったものといえよう。

衆議院法務委員会の附帯決議(全文)
政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一、裁判所における手続の迅速化については、当事者の正当な権利利益が害されないよう、当事者の人権に十分配慮し、当事者の防御権を損なうことのないよう、十分な配慮をすること。
二、最高裁判所による検証については、裁判の独立並びに関係者のプライバシーを十分尊重しつつ、総合的、客観的かつ多角的な検証を確保するため、法曹三者の協力に加え、外部有識者の関与を認めるよう、必要な措置をとること。
三、裁判の迅速化に資するため、裁判官、検察官及び関係職員の増員及び裁判所設備の拡充など、人的物的体制の整備に努めるよう、必要な予算措置をとること。


   

この記事は弁政連フォーラム第126号(平成15年5月25日)に掲載されたものです。

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