PF-JPA
 
【日本弁理士会】
知的財産基本法成立にあたって(会長所感)
                   

平成14年12月2日
日本弁理士会
会長 笹 島 富二雄

 11月27日、知的財産基本法が成立しました。
 小泉首相が主催する知的財産戦略会議において、本年7月3日に知的財産戦略大綱が決定されてから、短期間のうちに本法律の成立にご尽力されました関係者の皆様に衷心より敬意を表します。
 
 本法律は、知的財産戦略大綱の高らかな精神に則って、「知的財産の定義」を我が国で初めて明らかにしたこと、「基本理念」として知的財産の創造、保護、活用の推進は国民経済の発展及び豊かな文化の創造・発展、経済構造改革の推進及び産業の国際競争力強化に寄与すべきこと、を国民に示したことは高く評価できるものであります。とりわけ、国、地方公共団体、大学、事業者などの「責務」を明確にし、続いて「基本的施策」を定めたこと、内閣に「知的財産戦略本部」を設置し、その戦略本部において作成される「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画(以下「推進計画」という)」に定める施策については具体的な目標と達成時期を定めることが明示されたことは極めて重要であります。
 
 日本弁理士会は、本法律が知的財産立国によって我が国経済が再び活力を得るための布石となり、知的財産の創造・活用による付加価値の創出を基軸とする活力ある経済社会が実現することを強く期待するものであります。これまで、当会は弁理士が知的創造サイクルに一貫して関与することによって、我が国の科学技術振興、産業の発展に貢献するという使命を果たすため、弁理士の先端科学技術分野や紛争解決などの能力向上、国際協力、産学官連携への協力、大学への人材派遣、初等・中等教育における知的財産教育支援などに積極的に取り組んでまいりましたが、知的財産戦略大綱の決定を受けて、一層の支援体制強化を図るため9月初めに「知的財産制度改革推進会議」を設置いたしました。これからは、この会議を中心に当会としても知的財産の専門家集団であるという自覚と責任の下において、「知的財産戦略本部」と「推進計画」に積極的に協力してまいりたいと存じます。
 
 なお、本法律には衆参の経済産業委員会において、「特許権等の的確かつ迅速な権利付与実現のための審査体制の整備強化」、「模倣品や海賊版製造国等に対する積極的な取り組みの推進」のほかに「侵害訴訟業務などの実績を踏まえての訴訟代理権の更なる拡大の検討を含めた弁理士の積極的活用」、「知的財産のための専門職大学院構想の関連において、弁理士をはじめとする人材の確保、養成及び資質向上のための具体的検討を行う」などの附帯決議がなされ、弁理士制度に対する機能強化が求められました。
 
 この法律の成立により、今後、知的財産戦略大綱が国家目標として掲げている知的財産立国の実現に向けた諸改革が進められてまいりますが、日本弁理士会は、本法律の「基本理念」に則り、我が国産業の国際競争力強化及び持続的な発展に貢献していくことはもとより、知財改革の担い手が国民であることを常に念頭において、国民の期待に応える知的財産制度の確立に全力を尽くす所存であります。

   

この記事は弁政連フォーラム第121号(平成14年12月25日)に掲載されたものです。

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