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【日本弁理士会】

阪神タイガースの優勝記念グッズに
「阪神優勝」が使えないって本当?
2003年7月28日
古閑 宏 (日本弁理士会 商標委員長)
千葉県在住の男性が「阪神優勝」の漢字と旗図形からなる商標を登録し、阪神球団が解決に向けて交渉している旨、或いは、無効審判を請求する準備を進めている旨の記事が各新聞に掲載され、その事実に関連した番組がテレビでも放映されています。

その男性が商標登録を得ていることは事実です。したがって、第三者が「阪神優勝」を優勝記念グッズに「商標」として(例えば、Tシャツの織ネームや商品タッグにその商品の出所表示として)使用することは、現時点ではできません。しかし、優勝記念グッズのTシャツの胸部に大きく「阪神優勝」と表示することや、帽子の前面に「阪神優勝」と表示すること等は原則として問題がない、と考えられます。

これは、「阪神優勝」といえば、阪神タイガースが優勝した事実を意味しているにすぎず、これを優勝記念グッズに表示したとしても、自他商品を識別するために使用しているのではなく、その事実を記述的に表示しているにすぎない(商品の出所を示す表示とは認識されない)、と理解できるからです。

つまり、阪神球団が優勝記念グッズに「阪神優勝」の事実を表示するために、一般的な商標の使用態様ではなく使用することと、そのような商標登録に対し阪神球団が登録無効審判等を請求することとは、別問題であると考えられます。

また、商標権は商品ごとに発生します。今登録されている「阪神優勝」は被服、履物、玩具、運動用具などを対象とした権利(商標登録)です。したがって、食品や文房具など、対象となっていない商品に「阪神優勝」と表示することが、この商標登録によって制約を受けることはありません。

以 上

(この記事は日本弁理士会としての公式見解を示すものではありません)


この記事は弁政連フォーラム第129号(平成15年8月25日)に掲載されたものです。

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