PF-JPA
 弁 理 士 会

 年 頭 所 感
 ―21世紀の弁理士―
 
Seiji Mukraki   
平成13年1月吉日
弁理士会会長 村木 清司
 
 

 新年明けましておめでとうございます。

 いよいよ21世紀が始まりました。本年1月6日に新弁理士法が施行されました。ここ数年は、弁理士会にとって変革の時期にあります。特に、1999年には弁理士制度創設100周年に伴う色々な行事が行われ、2000年には、新弁理士法の成立と弁理士会の会則の全面改正が行われました。本年2001年は、新法の施行とそれに伴う新しい弁理士制度の実践の年になります。同時に,弁理士会も新法施行に合わせて「日本弁理士会」と名前が変わり、会としての真価が問われる年であります。

 知的財産を巡る動きも、日本国内に留まらず国際的な動きの中にあります。特に注目を浴びているのは、インターネットの飛躍的発展と普及に起因する問題です。知的財産に関して言えば、インターネットを利用したビジネスモデル特許や、ドメインネームの保護、インターネット上で開示された技術情報と発明の新規性の問題、インターネットを介しての取引や権利侵害、インターネット上の紛争に関する裁判管轄など多くの問題があり、それぞれどのような利益を有し、どのような不利益をもたらすかを充分に検討する必要があります。

 さらに、ヒトゲノムを含むバイオテクノロジーに関する特許の問題があります。また、ナノテクノロジーが注目を集めていますが、まもなく世界的な知的財産権の獲得競争になるでしょう。これらの問題は、日本国内に留まらず、国際的な調整を必要とします。これらの飛躍的な技術の進歩とそれに伴う知的財産権の保護の問題に、知的財産権の専門家として我々弁理士がどの様に対処し、提案して行くかが今後の課題となります。

 昨年11月27日に、政府のIT戦略会議から「IT基本戦略」が発表されましたが、その冒頭で、「わが国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す。」と力強く述べられています。11月29日には、「IT基本法」(正確には「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」)が成立し、その第19条では、知的財産権の適切な保護及び利用を図るために必要な措置を取ることが謳われています。IT社会の実現には、それに伴う知的財産の適切な保護および利用が不可欠です。知的財産権保護の制度もこの5年の時間に間に合うように改善・改良することが必要です。

 このような状況の中で、日本弁理士会は、新しい弁理士制度を定着・充実させ、社会に貢献できる体制を取ることが求められています。それに応えるためには、会員一人一人が適切に業務を行うことが求められます。技術的にも、法律的にも、国際的にも批判に耐え得る業務を行うことが必要です。制度としては、知的財産全般に関して、その創出から、権利の取得、権利の利用及び紛争の解決までを行うわけですが、その全てに精通するには、分野が広すぎます。そのためには、それぞれが専門とする業務に関して、自己研鑚と研修により、依頼者の期待に充分応えることが肝要です。

 今回改正された弁理士法をみるとき、知的財産権に係る侵害訴訟の代理権など、知的財産に関する資格としては、まだいくつかの足りない点があります。司法制度改革審議会の中間報告でも、知的財産権に関する紛争の迅速な解決が重要であることが指摘されています。この紛争解決には弁理士が積極的に関与することが国家的な見地からも必要です。それらをできるだけ早く制度的に解決し、知的財産権保護に関する"あるべき制度"としての弁理士制度を実現し、それを国際的にも、Benrishi制度として、世界に普及させたいと願っています。


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