PF-JPA


弁理士の独占業務(専権)が制限される日!
−それを回避するには−


 
iida.akio   
日本弁理士政治連盟
副会長 飯田 昭夫

 
 

(1)弁理士以外の知財専門家とは?
 街の法律家相談所「○○○○は、著作権だけでなく、特許権や意匠権・商標権など知的財産権の契約や権利化後の活用に関わる手続を取り扱う専門家です。知的財産は、著作権法・特許法・商標法・不正競争防止法などの法律で守られますが、これらの法律を知らないとせっかくの創作が他人に無断使用されたり、トラブルになったりします。こんなときは何時でも、専門家である○○○○に相談ください。」これはある士業団体のホームページに記載されている文言です。(出典http://www.osaka-gyoseishoshi.or.jp/jobs/movie_chizai.html。○○○○は筆者が記入)
 ○○○○に該当する士業を即時イメージできますか?
 多分、全弁理士数の半数以下はイメージできないのではないでしょうか。
 実は、平成12年弁理士法改正により、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の権利移転手続、特許料等の登録料の納付手続が弁理士の独占業務から除外された結果、弁理士以外の資格者がこのような表記をするようになったのです。

(2)弁理士法がある限り独占業務が縮小されることはあり得ない?
 以上のことから、この考えは大きな間違いであることが気付くでしょう。
 我々弁理士の業務範囲は、平成12年の80年ぶりの全面改正後、平成14年、平成17年そして平成19年法改正により拡大してきました。言い換えれば、他の士業の業務範囲に重なる領域の業務も一部含めて業務範囲が拡大されてきたのです。
 同じようなことが、他士業から弁理士の独占業務範囲に対して主張されることがないわけではありません。毎年のように、某団体から国会議員に弁理士の独占業務の一部の開放の働きかけが行われています。
 それ故、毎年、人脈を活用して国会議員・行政庁に対し日本弁理士会の主張を明らかにしておかなければ、突然「弁理士の独占業務の制限」に関する法律が成立することもあり得るのです。但し、日本弁理士会(以下、本会という)は政治活動をすることはできません。そこで他の士業と同じように、本会の活動をサポートする弁理士政治連盟が必要となるのです。
 
(3)「日本弁理士政治連盟は特殊な政治団体である」&
   「政治連盟は政治活動の好きな会員が行っている」という誤解を解こう

 先日、資格者政治団体幹事長懇談会が開催されました。メンバーは、全国社会保険労務士政治連盟、全国土地家屋調査士政治連盟、日本行政書士政治連盟、日本公認会計士政治連盟、日本司法書士政治連盟、日本税理士政治連盟、日本不動産鑑定士政治連盟、日本弁護士政治連盟、日本弁理士政治連盟であり、各士業とも、資格団体と表裏一体の政治連盟を有していることが分かります。
 各士業の政治連盟は、簡単に言えば、各士業の主張を国の政策に反映させるための活動を行っている団体であり、多くは一党一派に偏ることなく、全政党に働きかけを行って日本経済・国民そして各士業の権益の為に活動する団体です。日本弁理士政治連盟も同じであり、日本の経済の発達の為に各政党に提言をしたり、弁理士制度・知的財産制度の発展の為に、本会とともに活動する団体であり、決して特殊な政治団体ではありません。各士業団体とも政治活動が必要であるので存在しているのです。
 国会議員や政党との連携や特許庁等行政庁との連携は、簡単にできるわけではありません。国会議員等の政治家と接触する役になると、自分の仕事時間を割いて行政関係者や政治家との会合・面会の時間を作り、何回も説明に出かけなければなりません。朝8時からの早朝勉強会もなされることもあります。決して好きでやれる活動ではありません。本会の為に仕事を犠牲にして頑張る会員がいるので成り立っていることを理解して頂きたいと思います。
 
(4)若き弁理士の将来のためにも、会費・活動での応援を!
 国会議員との人脈がなければ、日本弁理士会の主張が正しくても、その主張を国会議員に伝え影響力を行使してもらうことはできません。
 国会議員との接点を多くするには、多くの国会議員が主催する勉強会やパーテーに参加することが必要になります。そのためにはその勉強会等に支払う会費が必要です。会員数の多い士業団体では、豊富な会費資金を活用して国家議員と接触する機会を増やし、自分たちの主張を伝えることが容易です。
 弁理士の場合、会員数は少なく資金は多くありません。資金が少なければ活動も制限されますから、弁理士法の改正・産業財産権法の改正などで国会議員に日本弁理士会の主張を正しく伝えることもままならなくなります。
 正しい主張を伝えるには多くの国会議員との接点を維持することが必要となります。
 弁理士の将来の為にも、より多くの会員による会費納付をお願いします。
 また、より多くの若き会員に、政治連盟の活動に理解と協力をお願いします。

 最後に、若手会員が理解しやすいように敢えて正確な用語は使用してありませんのでご承知ください。また(1)の○○○○は行政書士、ホームページは大阪府行政書士会http://www.osaka-gyoseishoshi.or.jp/jobs/movie_chizai.htmlです。


  

この記事は弁政連フォーラム第222号(平成23年8月25日)に掲載されたのものです。

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