PF-JPA
狭義の特許審査は
国が行うべきである
−特許特別会計の改革についての意見−



日本弁理士政治連盟
会長 加 藤 朝 道

  経済財政諮問会議において10月21日有識者議員から提出された「特別会計・特定財源制度の改革」についての意見書に関し、日本弁理士会と当連盟は下記のとおり特許を与えるべきか否かを判断する狭義の特許審査は国が行うべきものとの意見をまとめ、11月10日以降国会議員及び政府関係方面に説明に努めている。

 知的財産立国という国家戦略的視点に立って狭義の特許審査(特許を与えるべきか否かを判断する審査)は国が行うべきものであり、特許特別会計に関連して狭義の特許審査までを民間委託するべきではない。

  [理由]について、後掲「声明」参照。

 特別会計の当否に関しては知的財産戦略の推進という国家戦略の観点から機動性を発揮出来る仕組みが不可欠であり、その観点からは特許の独立採算性を維持することが望ましい。
 しかしながら、特許審査の効率化、一層の迅速化のため、どのような仕組みが望ましいかは、さらにじっくりと検討する必要があると考える。小泉改革では「小さな政府、民間にできることは民間に」がキャッチフレーズになっているが、真に国がやるべきことについては、メリハリの効いた施策が国策としてとられるべきである。
 審査官の人数については、米国の約3200人に対し、日本は約1300人と絶対レベルにおいて大差がある。このような現実から出発してどのような仕組みで滞貨を解消するか、生易しい問題ではない。どのようにしてもさらに一定の審査官増員は不可避である、と考えられる。そのような中で、特許の審査滞貨の解消は、国家戦略的な事業であり、民間委託は論外であるが、一方で独立行政法人化等の声も出ているようである。しかし、審査の迅速化・的確化は単に独立行政法人化等の組織の形式の変更によって解決しうる問題ではないと考えられる。
 その前に特許制度全般の見直しが必要であり、特に調査報告前置制度(先に調査請求を行い、審査請求の前に調査報告を出す制度)の導入が、合理的な審査請求を出願人に動機付ける上で重要である。その他これに関連して、弁理士の制度的活用等、改革すべき点は多くあるはずである。
 そのためには、新たな戦略的議論のフォーラムで弁理士等第一線実務家の知恵を結集して議論を進めることを提唱する。
(以上)

この記事は弁政連フォーラム第156号(平成17年11月25日)に掲載したのものです。
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