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今月のトピックス
   
1. 論文試験の必須科目に「条約類」復活の緊急性について

1. 論文試験の必須科目に「条約類」復活の緊急性について
 10月20日、産業構造審議会知的財産政策部会第5回弁理士制度小委員会が開催された。論点整理が行われ、弁理士研修制度については、既存弁理士への義務研修の充実と共に、新合格者の登録前義務研修制度の導入について一定の方向性が示された。論文試験の条約復活については、絶望視されている。
 しかし、論文試験の必須科目にパリ条約などの工業所有権の保護に関する条約(条約類)復活の緊急性は、知的財産戦略の急進展により、弁理士の国際対応能力の強化が我が国産業の国際競争力の強化のため不可欠となったことから、生じたものである。
 従って、「条約類」の復活は、朝令暮改という性質のものではない。
 その理由は次の通りである。
 現行試験制度は平成12年弁理士法改正によるものであるが、その時点では、小泉内閣は未発足であり、知的財産戦略を想定したものではなかった。
 知的財産戦略が初めて謳われたのは平成14年2月の小泉施政方針演説である。その後、平成14年12月に知的財産基本法が成立し知的財産推進計画の策定が定められると共に知的財産戦略本部が内閣に設置され、平成15年以来毎年知的財産推進計画が策定されて、2006年はその第2期目に入っていて、条約の削除から既に6年も経っている。
 知的財産推進計画の中で、国際競争力の強化と国際的な模倣品防止対策が定められると共に、人材育成において、弁理士の量のみでなく質的強化が課題とされている。
 また、模倣品の国際流布及び我が国への流入防止のためには、知的財産の国際的保護が必要である。
 弁理士は、国内での知的財産の保護のみでなく、国内で創造された知的財産を国際的に保護するため一層活躍することが期待されている。そのため、弁理士の業務として、国際関連業務を弁理士法に明記することが現在提案されているところである。
 条約類についての素養は、知的財産権のグローバルな性質に根ざした弁理士の国際関連業務の基盤であり、新合格弁理士についても論文試験によりしっかりとした素養を身につけてもらうことが、活躍の基礎となるのである。
 この点について、政界では、ユーザたる国民の立場からすると当然とされている。
(弁政連会長 加藤朝道)

この記事は弁政連フォーラム第166号(平成18年10月25日)に掲載したのものです。
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