PF-JPA
弁理士法の改正に向けて



日本弁理士政治連盟
顧問 加 藤 朝 道

  リーマンショックと東日本大震災、福島原子力発電所のメルトダウンによる放射能汚染と原発の安全神話の崩壊による電力不足問題は、日本の国際競争力という観点からすると、それ以前から続く出願の長期低下傾向と相俟ってまさにトップランナー群からの脱落の危機を招来しております。
 これに対して、日本の国際競争力の一層の低下を押し止め上昇回復に転ずるには、自然エネルギーの有効利用や、省エネ・節電技術の開発など、技術革新をもって切り抜ける以外、我が国に将来はない。
 その中で、弁理士制度は、日本の国際競争力の確保の要となるべきものであり、「技術と法律の素養を備えた国際性のある知財専門家」として、十全な機能を果たしうるものでなければならない。
 徒に数のみを増やしても、それは達成されない。むしろ、弁理士制度自体が国際競争力を有する弁理士を輩出しうるものでなければならない。
 そうした観点から、弁理士試験制度の国際比較は、きちんと行うべきである。特に欧州では、ドイツ、英国の特許事務所に仕事が集中する傾向が見られるが、その背景には、両国の永年に亘り歴史的に蓄積した堅実な弁理士制度(特に試験制度)があると考えられます。これをよく学んで参考とすべきであると考えます。数ではなく、質の担保が肝要である、ということです。
 我が国では、過去10年来一方的に数の増加のみが追求され、弁理士試験制度は、受験生の負担軽減の名の下に、過度に簡易化され、その結果毎年800人を超える合格者を出していますが、既にこのやり方では弁理士過剰の傾向が出ており、この際、質的に高く安定した弁理士の育成へと大転換する時が到来していると考えます。

以上

この記事は弁政連フォーラム第221号(平成23年7月25日)に掲載したのものです。
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