PF-JPA




侵害訴訟代理権の制度設計に
対する意見


 
furuya.fumio
日本弁理士政治連盟
最高顧問 古 谷 史 旺
 
 


1)政府所轄の司法制度改革審議会の報告書では、知的財産権制度の強化が各国の国際戦略であり、我が国も制度面および人的面でのインフラ整備が喫緊の課題であり、隣接法律専門職種である弁理士の活用を図って対応すべきことが提言されている。
  一方、政府は、知的財産権制度の活用を国家戦略の一つとして位置付けて、その強化を図る考えを示している。

2)しかるに、先に公表された特許庁の能力担保措置ワーキンググループ「報告書」では、弁理士に侵害訴訟代理権を付与する条件として、最低45時間の研修と効果確認試験が必要であり、共同出廷が原則、単独出廷は例外であるから、その旨を法制化すべきこと、等が書かれてある。

3)弁理士の永年にわたる侵害訴訟における補佐人及び審決取消訴訟代理人としての実績が全く考慮されていないばかりでなく、そのような条件を付した侵害訴訟代理権を弁理士に与えることが、国家戦略の観点から是か非かの議論もなく、単なる参入規制の論理で終始されており、由々しきことである。

4)もともと、妥協の産物である「弁護士が受任している事件に限る」との限定的条件が付されているのであるから、45時間もの研修による拘束は、第一線で活躍している弁理士を排除するのと同じであるし、その上での効果確認試験は、参入規制そのものである。

5)研修時間は多くて20時間以内、効果確認試験は不要。共同出廷が原則、単独出廷は例外を法律に規定するは論外と考える。
  研修時間及び効果確認試験について100歩譲ったとしても、「共同出廷が原則、単独出廷は例外」を法律に規定させては、断じてならない。

6)弁護士が受任している事件に限り、弁理士は侵害訴訟代理権を得るのであるから、共同出廷が原則なのは当然である。民事訴訟法第56条の個別代理の原則が働いたとしても、自分の不得手な場面において単独出廷する馬鹿はいない。
  「共同出廷が原則、単独出廷は例外」を法律に規定させることは、弁理士法に新たな屈辱的規定を創設することである。「そのような侵害訴訟代理権であるならば、いらない。」と言えるだけの覚悟が必要である。

以 上

この記事は弁政連フォーラム第109号(平成13年12月25日)に掲載されたのものです。

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