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緊 急 提 言
  

furuya.fumio
日本弁理士政治連盟
最高顧問 古 谷 史 旺


 小生、弁理士会の活動から足を洗い、隠遁生活を送ろうと思っておりましたが、故あって弁政連の最高顧問に再び就かざるを得なくなりました。であるならば、歯に衣着せず、提言させて頂くことにしました。
         
T.弁理士会と弁政連との関係を正せ!
 僅か5年余の間に、我々弁理士会を取り巻く環境は一変した。我々の監督官庁は通産省(経産省)であり、特許法その他の関連法の改正は、特許庁等の原案に対し、政府与党である自民党の商工部会で審議され、その余の手続きを経て国会に上程される。従って、弁理士会・弁政連の政治活動も、その時々の商工関係議員に対し陳情・説明すればよかった。
 ところが、いまや、特許の世界は、“知的財産”という広範囲な概念で捉えられ、経産省はもとより、紛争事件であれば法務省、輸入取締まりであれば財務省、知財教育・科学技術振興・著作権であれば文科省、バイオ・種苗であれば農水省、裁判(国際)管轄の問題であれば外務省と、ありとあらゆる省庁が関与している。時には最高裁判所との折衝もある。自民党内の部会も、経済産業部会だけでなく、法務部会、文教部会、司法制度調査会、知的財産制度に関する小委員会等々が関与している。この図式は、自民党に限らず、あらゆる政党に通じる。
 従って、我々の活動範囲は、従前と比較にならない程に拡がり、労力も増えている。少ない人数と限られた時間内で対応せざるを得ないので、時には弁理士会と弁政連との間で行き違いの起こることがあるかも知れない。しかし、それを繰り返していてはならない。弁理士会と弁政連の不協和音が外部から指摘される恥ずべき事態を、重く謙虚に受け止め、直ちに是正すべきだ。
 弁理士会と弁政連は、活動の原点に立ち戻り、お互いの役割分担を再認識し、強固な協力関係のもとで、“知的財産国家戦略”という大きな命題に取り組むべきだ。
 そうしなければ、弁理士会は、やがて世間から見放され、“気が付いたら蚊帳の外に放り出されている、”そんな由々しき事態を招くことになる。

U.弁理士会の会則を見直し、組織を抜本的に改めよ!
 弁理士会の会員数が、8,000名を突破するのは、時間の問題であろう。それにしては、正副会長会を頂点とする弁理士会の会則は、巷で指摘されている様々な矛盾を含むばかりでなく、機能的・活動的な組織になっていない。
 上記したように、弁理士会を取り巻く環境は様変わりしている。とりわけ、我々の業務と深い関わりのある「司法制度改革推進本部」、「知的財産制度改革推進本部」は大車輪で改革の歩を進めている。
 この1年間だけを取り挙げても、知財関連法の改正は目白押しである。特許料金体系の見直し等審査体制の整備を含めた特許法の一部改正、営業秘密の管理強化並びに不競法関連の民事訴訟に於ける侵害行為の立証容易化を含めた不正競争防止法の一部改正、特許権、実用新案権、意匠権の侵害物品を輸入差止め申立制度の対象に追加した関税定率法の一部改正、種苗法の一部改正、著作権法の一部改正、民事訴訟法の一部改正等々である。
 このような環境の激変に対し、迅速かつ的確に対応できる弁理士会の体制づくりが喫緊の課題である。弁理士会は、甲論乙駁して意見の集約がいつまで経ってもできない悪い癖を持っている。しかし、今やそれが許される状況ではない。グダグダ議論を繰り返してはならない。不都合なことは、歩きながら直せばよい…。その位の気持ちで取り組むべきだ。
 この際、曖昧模糊とした総括福会長制を廃止し、会長2年制に直ちに移行すべきである。
 また、会長と正副会長会との関係、常議員会との関係等を見直し、会務運営を含め、組織を抜本的に改めなければ、社会のスピードに到底ついて行けない。

V.弁理士制度の5年後のビジョンを打ち立てよ!
 弁理士試験の合格者が更に増え続け、一方で法科大学院卒業の弁護士による知財分野への大量参入が予想されるとき、日本弁理士会の正副会長会は、弁理士制度をいずれの方向に導こうとしているのか、明確なビジョンを示すべきだ。
 特に若い会員の多くは、自分たちの将来に不安を抱いている。よもやそんなことはあるまいが、“自分の将来は自分で築け”と考えているのであれば、そのような方は、そもそも正副会長になる資格がない。サッサと辞任すべきだ。
 優秀な若い人たちに、弁理士制度に対する夢や希望を与えるのが、正副会長会の仕事でなければならない。今からでも遅くはない。弁理士制度の5年後のビジョンを早急に打ち立てるべきだ。
    
以 上





  

この記事は弁政連フォーラム第128号(平成15年7月25日)に掲載したのものです。
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