PF-JPA




弁理士制度推進議連の臨時総会が
開催される!
(ADR代理権の範囲拡大を求める決議案を採択)

  

furuya.fumio
日本弁理士政治連盟
最高顧問 古 谷 史 旺
  1)自由民主党の国会議員(衆・参)70余名からなる弁理士制度の改革推進及び地方展開に関する議員連盟(弁理士制度推進議連)の臨時総会が、平成16年11月9日(火)午後1時30分〜2時30分の予定で自民党本部の会議室で開催された。
 出席者は、自民党の国会議員及び議員秘書の他、司法制度改革推進本部の山崎事務局長、特許庁の落合秘書課長、日本弁理士会正副会長、日本弁理士政治連盟の正副会長と私であった。

  
2)議案は「弁理士制度改革について」と漠然としているが、狙いを端的に言えば、「裁判外紛争解決促進法」(ADR基本法)が国会を通過成立したのを受け、それに関わる代理人を弁護士法第72条の規定どおりに弁護士だけに限るのか、それとも各隣接資格士業法を改正し、ADRに関わることが出来るようにするのか否か、すべての隣接資格士業に認めるのか否か、喫緊必要とされる隣接資格士業のみに限るとして、権限はどこまで認めるのか、いつ改正法を国会に提出するのか、等々に改革の論点は移って来ていた。しかしながら、「弁理士」の位置づけは、我々の努力の甲斐もなく極めて微妙であった。
  私の知る限り、弁理士会執行部と弁政連は、電車に乗り遅れまいと必死の努力をして来た。ことADRの代理権に限って言えば、頼みとする特許庁と我々との温度差は、天と地ほどの違いがあった。


3)政府所轄の司法制度改革推進本部では、「裁判外紛争解決促進法」(ADR基本法)の中で、それに関わる代理人の問題を具体的に規定することはせず、各隣接資格士業法の改正を以て、弁護士法第72条と対等関係を築く方針が示されており、各隣接資格士業法の改正を援護する意味で、平成16年11月10日(水)に行われる予定の会議において、“各隣接資格士業に対する具体的な方向性が示される”ことになっていた。
 弁理士制度推進議連の臨時総会は、そういった点で、時機を得た深い意義があった。
 弁理士に対するADR代理権の付与が、制度を利用する国民にとって如何に必要かを、国会議員の方々がどこまで理解されるか、緊張の一時であった。 

4)弁理士は、弁理士法第4条第2項第2号において仲裁代理が認められており、他の隣接資格士業に先行してADRの代理権を有するが、代理権の範囲は限定的であるし、場所も指定機関に限られており、“限定解除”が最大の関心事であった。
 この“限定解除”に関し、弁理士会と弁政連は連名で、下記の趣旨を記載した要望書を有力国会議員に提出すると共にロビー活動を行って来た。
 @弁理士に、著作権事件に関する仲裁・調停手続の代理権を付与して頂きたい。
 A弁理士の調停代理権を明確にして頂きたい。
 B弁理士に、不正競争防止法全般に関する仲裁・調停手続の代理権を付与して頂きたい。
 C弁理士に、経済産業大臣の指定仲裁機関外の機関における仲裁・調停手続の代理権を付与して頂きたい。 

5)紙面の都合もあり、会議の模様を詳しく述べることは出来ないが、会議の終わり近くで中川秀直会長は『決議案』(末尾に全文掲載)を議場に諮った。
 『決議案』は満場一致で採択され、『決議』となったが、圧巻は特許庁の落合秘書課長に対する中川秀直会長の締め括りの一言であった。
 “特許庁はADR関連の弁理士法改正に対し、作業日程との関係で次期通常国会は難しいと考えているかも知れないが、「他の士業の動向を踏まえつつ早期提出をめざし検討を行う。」とあるのは、「他の士業に後れを取ってはならない」というのが、弁理士制度推進議連の総意であると受け止めるように。”

6)弁理士制度推進議連の臨時総会が終わった翌日、予定通りに司法制度改革推進会議が行われ、「弁理士」に対するADR代理権の必要が示されると共に、弁理士会の上記要望中、@、A、Cに対する支持の方向性が示された。Bの不正競争全般に関わる件は、弁理士法5年後見直し(平成18年)で検討することが示されている。
 平成18年の見直しということは、遅くとも来年(平成17年)の中旬までには、“改正項目の検討と改正の方向性”が出来ていなければ、政治日程に乗らないことになる。
 また、ADR関連の弁理士法の改正に対しても、この弁政連フォーラムが会員諸氏の手元に届く頃には、次期通常国会に上程できるか否かの決着がついているであろう。

7)これらは特許庁や政治家が勝手に手掛けてくれる訳ではなく、我々弁理士会が主体的に取り組むべき課題である。その前提には、会員諸氏の深い理解と協力と圧倒的な支持がなければ、到底達成し得ないことである。我々弁理士会の会員は、増えたとは言っても全体で僅か6,000人に過ぎない。
 立法(政治)と行政(官)を動かし、制度を改革するには、天下国家の大義を味方に付け、6,000人が一丸となって初めてなし得ることを知るべきだ。

 おわりに、我々日本弁理士政治連盟は、国家戦略としての知的財産制度の昂揚と普及を願う一方で、世界に通用する魅力的な弁理士制度の構築を目指し、日々奮闘している。それなのに、一部の会員が活動を誤解されていると聞く。断腸の思いであり、誠に残念でならない。
 会員諸氏の正しいご理解と一層のご支持を切にお願いしたい。
 
決  議


一.弁理士のADR代理権に関する弁理士法の改正につき、左記事項を決議する。

 ・著作権に関する仲裁・調停代理を認めること。

 ・対象ADR機関を拡充すること。

 ・ADRでの調停代理権を法文上明確化すること。

 ・右記事項を内容とする弁理士法改正法案の国会提出時期については、他の士業の動向、弁理士
  法見直しとの関係等を踏まえつつ早期提出をめざし検討を行う。

二.弁理士が取り扱うことができる「特定不正競争」の範囲の見直しにつき、18年初頭の「5年後の
  弁理士法見直し」の一環として、左記事項につき検討する。

記 不正競争防止法第二条第一項に掲げる全号につき、「技術性」、「弁理士専権業務」の基準か
   ら見直し、弁理士が扱える不正競争行為を拡充すること。
  

この記事は弁政連フォーラム第145号(平成16年12月25日)に掲載したのものです。
Copyright &;copy 2000 Political Federation of JPA, All rights reserved.
日本弁理士政治連盟 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-4-2,弁理士会館内
E-mail: info@benseiren.gr.jp
Tel: 03-3581-1917 Fax: 03-3581-1890
更新日: