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弁理士制度推進議連が
「臨時総会」を開催!
−決議案を満場一致で可決承認−
  

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日本弁理士政治連盟
最高顧問 古 谷 史 旺
 中川秀直衆議院議員が会長を務める「弁理士制度の改革推進及び地方展開に関する議員連盟」(弁理士制度推進議連)の臨時総会が、平成17年5月23日(月)午後3時30分から自由民主党本部7階会議室において開催された。
 議題は、1)日本弁理士会の地方展開と中小企業支援について、2)弁理士制度と試験制度の見直しについて(「技術と法律の専門家」の枠組み担保)、3)弁理士の訴訟代理権の現況と方向性について、であった。
 主だった出席者は、自民党の国会議員の他、中小企業庁から西村次長、特許庁から渋谷総務部長と落合秘書課長、弁理士会正副会長、弁政連正副会長、その他であった。小林興起衆議院議員が司会をされた。
 議題に対する一通りの説明と質疑の後、中川会長が事前に用意された『決議』(案)が諮られ、満場一致で可決承認された。

 決議の内容は、以下のとおりであった。
決    議

 一.弁理士制度が中小企業、個人を含めた小規模事業体に十分機能するよう、日本弁理士会は、国、地方公共団体との公式連繋を強化する。

 二.特許庁の出願費用、特許等の維持費について、個人、中小企業、非営利団体、大学、研究機関の全体に対して、更なる負担の軽減をする。

 三.「知的財産推進計画2004」97ペ−ジから98ペ−ジに記載された事項を、「知的財産推進計画2005」でも堅持する。

 四.不正競争防止法第二条第一項に掲げる全号につき、「技術性」、「弁理士専権業務」の基準から見直し、弁理士が扱える不正競争行為を拡充すること。

 五.「技術と法律の素養を備えた知財専門家」としての弁理士の特質を踏まえて、質的な担保を行うため、弁理士国家試験制度を見直し、試験制度とリンクさせて、弁理士登録前研修制度も検討する。

 六.特定侵害訴訟代理資格を付記するための試験は、その研修制度も含めて運用上の見直しを行う。

 七.産業財産権は、独占・排他権であり、その創設には弁理士の専門性が必要となるので、この分野の専権は堅持する。

平成17年5月23日
    弁理士制度の改革推進及び地方展開に関する議員連盟
          会 長   中  川  秀  直



 この決議の中で特筆すべきは、三.四.五.であろう。
(1)“三.「知的財産推進計画2004」97ペ−ジから98ペ−ジに記載された事項を、「知的財産推進計画2005」でも堅持する。”とは、「知的財産推進計画2004」97ペ−ジから98ペ−ジには、次のことが書かれてある。『iii現状制度化の特定侵害訴訟代理人としてのいわゆる付記弁理士については、2003年度から特定侵害訴訟代理業務試験に合格した付記弁理士が誕生し始めている。新たな制度の運用状況や弁護士・弁理士の活動状況などの実情も踏まえ、特定侵害訴訟における単独受任等の検討も含めた弁理士の積極的活用等について、2004年度以降検討を行う。(司法制度改革推進本部、法務省、経済産業省)』
 これを平たく解説すれば、付記弁理士の行う特定侵害訴訟代理は、「共同受任、共同出廷」という変則的な制度設計であり、「単独受任、単独出廷」の課題が残されていることを確認し、今後の検討課題であることの見識が示されている。責任官庁は、司法制度改革推進本部、法務省、経済産業省である。
 ところが、日本弁護士連合会その他から、「知的財産推進計画2005」の改訂版から、この箇所を「削除せよ」との意見又は要望が知的財産戦略本部に出されたと側聞している。戦略本部も該当箇所を残すことに消極的であるとのニュースも流れて来ていた。
 かかる状況下で行った弁理士制度推進議連のハッキリとした政治意思の表明は、極めて重いものがある。
 ※「知的財産推進計画2005」は6月10日に公表され、弁理士制度推進議連の政治意思の表明は、期待どおりに活かされた。

(2)“四.不正競争防止法第二条第一項に掲げる全号につき、「技術性」、「弁理士専権業務」の基準から見直し、弁理士が扱える不正競争行為を拡充すること。”とは、弁理士法第2条第4項で、不正競争防止法第2条第1項第1号〜第3号、第4〜9号、第12号に係る「不正競争」の中で「特定不正競争」のみを弁理士は扱えるが、第10号、第11号は、その内容が技術的事項であるにも拘わらず「特定不正競争」から外され、また、第13号、第14号、第15号は、弁理士の現業務と密接不可分であるにも拘わらず「特定不正競争」から外されている。この不可解さは、弁護士法第72条との攻防に由来する妥協の産物としか説明できない。
 現在の弁理士法は、平成12年に改正され翌年の1月6日から施行されたものであるが、5年後見直しが義務付けられている。
 弁理士制度推進議連が行ったこの度の決議は、それを見据えたものであり、弁理士法の見直しに当たっては、「技術性」、「弁理士専権業務」の観点から、弁理士が扱える不正競争行為を拡充すべきとする極めて的を射た政治意思の表明である。
 ※平成17年6月8日、衆議院の経済産業委員会で「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が審議された際に『付帯決議』が付されている。
 その第4項に『…弁理士の更なる活用を図るため、弁理士法第2条第4項に規定する「特定不正競争」に関し、弁理士の技術的性格及び弁理士制度の趣旨にかんがみ、弁理士の業務の拡大について検討すること。』が決議された。
 同じく、平成17年6月16日に開催された参議院経済産業委員会で「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が審議された際にも『付帯決議』が付され、その第3項は、衆議院と全く同趣旨の『付帯決議』である。
 日本弁理士会は、衆参両院に於ける政治意思の表明を真摯に受け止めた行動に徹し、安易な妥協を一切排除する覚悟で臨むべきである。

(3)“五.「技術と法律の素養を備えた知財専門家」としての弁理士の特質を踏まえて、質的な担保を行うため、弁理士国家試験制度を見直し、試験制度とリンクさせて、弁理士登録前研修制度も検討する。”とは、平成12年改正の弁理士法に於いて、試験制度を抜本的に改正し量的拡大を押し進めてきた。
 その結果、巷には仕事のできない弁理士が溢れ、弁理士制度を利用する国民が安心して仕事を頼めないという苦情が出るに至り、何のための量的拡大かが問われている。
 そこで、5年後見直しが行われることを見据えて、“「技術と法律の素養を備えた知財専門家」としての弁理士の特質を踏まえて、質的な担保を行うため、弁理士国家試験制度を見直し、試験制度とリンクさせて、弁理士登録前研修制度も検討すべき”との提言であり、試験制度を検討する特許庁の然るべき機関に対する政治意思の表明である。
 日本弁理士会が如何に無力であるかは、弁理士法改正に約80年の年月を要したこと、それも時の特許庁長官の英断と、大きな政治の力で為し得たことは、知る人ぞ知るである。
 弁理士登録前研修制度も含めた試験制度の改革ともなれば、各方面へ様々な影響を及ぼすだけに、その抵抗は計り知れない。
 日本弁理士会は、弁理士制度推進議連が行った決議を重く受け止め、安易な妥協を一切排除すれば、ことは成就する、を肝に銘ずべきである。
 

この記事は弁政連フォーラム第151号(平成17年6月25日)に掲載したのものです。
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