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特許出願件数激減への対応策について




  

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日本弁理士政治連盟
会長 古 谷 史 旺

  平成22年6月18日付で日本弁理士会の会長と日本弁理士政治連盟の会長宛に弁理士会内の複数の有力派閥から、標記のお願い文書が届けられた。お願い文書は、特許出願件数激減の原因と対策が仔細に述べられており、危機感がヒシヒシと伝わって来るものであった。

 平成21年8月30日の衆議院議員総選挙において、民主党は大勝利を収め、自民党から政権を奪取して鳩山内閣を誕生させた。
 平成21年9月24日、第64回国連総会に於ける一般討論演説の中で、鳩山内閣総理大臣は、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する旨を宣言し世界から賞賛を浴びた。

 我々(弁政連)が永年の政治活動で学んだことは、政治家に対して「困った。何とかして欲しい。」を懇請しても、エゴに映り、全く相手にされない、ということだ。真面目な政治家の視点は、常に国家、国益である。従って、我々も“天下国家”で勝負をしなければならない。「8,000人にも満たず、金もない団体ではあるが、常に“天下国家”で勝負を掛けてくる。だから無視もできない。」…そんな存在でなければならない。

 特許出願件数の激減は、我々(弁政連)にとって看過できない重大な問題であり、民主党政権下において、どのような主張ができるか、すべきかを鋭意検討した。しかし、それは飽くまで“大義を立てて闘う”ことであった。
 鳩山内閣総理大臣の国連総会に於ける温室効果ガス25%削減演説は、日本国内において賛否両論、甲論乙駁の状態であった。
 予想どおり経済界の反応は冷たかった。温室効果ガス削減のための技術開発に莫大な投資をしても、日本国内のパイは小さく利益を出せない。さりとて海外へと言っても、国が後押ししなければ利益を出せるところまで届かない。


 
我々(弁政連)が打ち立てた大義はこうだ!

第1ステージ…官民一体で温室効果ガス削減と新エネルギーの技術開発に取り組む。技術開発のため10兆円規模の思い切った財政出動を行う。
第2ステージ…技術開発された成果(発明)で、世界に特許網を構築する。
第3ステージ…世界に特許網を構築したならば、次に技術標準(世界標準)の獲得を目指す。

 我々は弁理士であるから、知的財産権を離れた主張をしても意味がないし、聞く方も耳を貸さない。特許出願件数激減を訴えても、国は動かないし動かせない。
 しかし、上記の大義であれば、国は動かざるを得ない。結果、特許出願は増える。企業も潤い税収も増える。弁理士にも仕事が廻って来る。
 問題は、世界に特許網を構築して経済的に潤うのは日本だけだ。これでは地球規模での温室効果ガス削減には繋がらない。いずれは特許を解放しなければならない。だからこそ、技術の標準化(世界標準)が必要になる。もし、技術標準(世界標準)を獲得できれば、特許権の有効期限を心配することなく、日本のその技術が廃れない限り、世界で使われ続けることになる。

 以下に、我々(弁政連)の活動を一覧にして示し、ご理解を頂きたいと思う。



日本弁理士政治連盟のここ1年間の
“特許出願件数を増加させる”ための活動一覧


○平成21年6月4日  自民党「弁理士制度推進議員連盟総会」
(内容)知的財産支援策、中堅企業・中小企業・地場産業等への支援策(減免等)、出願審査請求料引下げ、ダブルトラック問題、環境技術支援

平成21年6月16日  民主党「知的財産制度改革推進議員連盟総会」
(内容)知的財産支援策、中堅企業・中小企業・地場産業等への支援策(減免等)、出願審査請求料引下げ、ダブルトラック問題、環境技術支援

平成21年8月5日  細野特許庁長官との懇談 
(内容)ダブルトラック問題、地球温暖化防止対策、中小企業支援対策、出願審査請求料引下げ

平成21年10月2日  大畠・民主党知的財産制度改革推進議員連盟会長との懇談
(内容)鳩山内閣総理大臣へ要望書提出、研究開発・技術開発促進、思い切った財政出動、知的財産権包囲網構築と世界標準化、新エネルギー対策・地球温暖化対策

平成21年10月7日  菅副総理、直嶋経済産業大臣、小沢環境大臣との会談
(内容)研究開発・技術開発促進、財政出動、知的財産権包囲網の構築と世界標準化、新エネルギー対策・地球温暖化対策、中小企業支援対策、知的財産権保護強化

平成21年11月17日  近藤経済産業大臣政務官との懇談
(内容)地球温暖化対策、環境技術開発の重要性と思い切った財政出動、特許法等関係手数料のあり方、出願審査請求料見直し

平成21年12月10日  松下経済産業副大臣との懇談
(内容)環境技術と知的財産権化の重要性、企業の知的財産権取得のための具体的方策

平成21年12月24日  中川・自民党弁理士制度推進議員連盟会長との懇談
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化

平成22年1月27日  山本総務部長(特許庁)との懇談
(内容)スモールエンティティ(small entity)制度導入、出願審査請求料引下げ、審査厳格化と出願厳選について意見交換、研究開発・技術開発予算増額

平成22年1月28日  民主党「政権公約を実現する会(鳩山グループ)」で講演
(内容)日本再生のための知財戦略と地球温暖化対策に関する提言

平成22年3月4日  自由民主党「元気な日本をつくる懇談会」でスピーチ
(内容)新成長戦略と知財戦略の重要性を説明

平成22年4月6日  松下経済産業副大臣との懇談
(内容)地域知財支援、中小・ベンチャー企業支援、成長戦略と知財戦略

平成22年4月13日  亀井金融・郵政改革担当大臣(国民新党代表)との会談
(内容)日本再生のための経済対策と成長戦略について意見交換、新エネルギー技術と省エネ技術の研究開発推進及び思い切った財政出動、知的財産権包囲網構築と世界標準化、地域・中小企業・ベンチャー企業対策

平成22年4月26日  山本総務部長との懇談
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築、世界標準化、出願審査請求料引下げ

平成22年4月30日  古川内閣府副大臣との懇談
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ、新成長戦略と知財戦略

平成22年5月7日  近藤経済産業大臣政務官との懇談
(内容)研究開発・技術開発予算増額、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ

平成22年5月11日  国民新党「政務調査会ヒアリング」に出席
(内容)研究開発・技術開発予算増額、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ

平成22年5月18日  民主党「知的財産制度改革推進議員連盟総会」
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ、新成長戦略と知財戦略

平成22年6月8日  民主党「弁理士制度推進議員連盟設立総会」
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ、新成長戦略と知財戦略

平成22年6月14日  増子経済産業副大臣との懇談
(内容)研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化、出願審査請求料引下げ、新成長戦略と知財戦略

平成22年7月1日  弁理士の日記念祝賀会での「菅総理メッセージ」並びに「松下経済産業副大臣と鹿野民主党弁理士議連会長と中川自民党弁理士議連会長挨拶」へ特許出願件数増加対応を要望
(内容)特許出願件数増加のための“魅力ある特許制度”構築について発言

平成22年7月28日  菅直人内閣総理大臣との会談
(内容)特許出願件数減少傾向への対策要望、研究開発・技術開発促進、知的財産権包囲網構築と世界標準化、政府の新成長戦略への期待


この記事は弁政連フォーラム第211号(平成22年8月25日)に掲載したのものです。
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