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野田佳彦内閣総理大臣に期待する!



  

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日本弁理士政治連盟
会長 古 谷 史 旺

 民主党の代表選挙に逆転勝利を収めた野田佳彦氏は、菅直人総理の後を受けて、第95代の内閣総理大臣に指名された。
 まず、代表選挙後の党三役人事では、小沢一郎元代表の側近である輿石東参議院議員会長を幹事長に迎え、代表選を共に戦った前原誠司氏を政策調査会長、鳩山由紀夫元総理の側近である平野博文氏を国会対策委員長に据えた。
 そして、内閣の顔ぶれはサプライズのない常識的な布陣となっており、私どもの関係で言えば、経産大臣に鉢呂吉雄氏、文部科学大臣に中川正春氏、法務大臣に平岡秀夫氏、農水大臣に鹿野道彦氏、国家戦略担当・科学技術政策担当大臣に古川元久氏が任命された。また、松下忠洋氏が経産副大臣の続投となり、経産政務官に北神圭朗氏、衆議院の経済産業委員長に吉田おさむ氏、同じく衆議院の法務委員長に小林興起氏、科学技術・イノベーション推進特別委員長に松宮 勲氏、国家基本政策委員長に田中慶秋氏、憲法審査会長に大畠章宏氏が決まり、私どもと関係の深い議員が要職に就かれている。
 その他に、小沢一郎元代表の側近である山岡賢次氏を国家公安委員長に、奥村展三氏と森ゆうこ氏を文部科学副大臣にそれぞれ起用し、党内融和の腐心の後が窺われる。
※鉢呂吉雄経産大臣は、就任9日目にして問題発言で辞任の余儀なきに追い込まれ、後任に前官房長官の枝野幸男氏が就任した。
 
 思い起こせば2年前、民主党は劇的な政権奪取を果たし、鳩山由紀夫総理に大いに期待したが、鳩山総理は、国連総会の場で、国内コンセンサスを得ないまま、日本はCO2を含む温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減すると宣言された。世界からは喝采を博したが、何の裏付けもない演説に日本国内、特に産業界の反応は極めて冷ややかであった。
 また、自民党が20年以上の歳月を掛けて住民合意に漕ぎ着けた「辺野古」への米軍基地移転問題を、いとも簡単に反故にして、ご自身の強い思いから「辺野古」以外、望ましくは国外移転と言い出した。アメリカに出向いて大見得を切って帰って来て、結局は暗礁に乗り上げて政権を放り投げてしまった。
 
 総理大臣が菅直人氏に替わり、前総理との違いを期待されたが、鳩山総理の学習経験は全く生かされなかった。菅直人氏は、民主党の代表選で勝利を収め、高い支持率を本物と勘違いされたのか、内閣総理大臣に就任するや否や、十分な党内審議も国民のコンセンサスも得ないまま、唐突に消費税10%を打ち出して参議院議員選挙で大敗した。また、尖閣諸島沖の密漁船拿捕事件では、中国の圧力に屈する形で船長を解放してしまい、日本の外交の弱さ・不甲斐なさを露呈させた。それに乗ずるように、ロシア大統領は北方領土の国後島を公式訪問し実効支配を世界に印象づけた。日本の固有の領土である竹島に対し、韓国は次々に頑強な建造物を構築して40名を超える自国民を住まわせ、実効支配を確実なものとさせている。これらの理不尽な行為に対し、政府は、何故、毅然とした態度で臨まないのか。国際社会に強く訴えないのか? 弱腰外交は全く理解できない。
 東日本大震災での対応の拙さは、生々し過ぎて多くを語りたくないが、衆議院と参議院が捻れた厳しい政局において、菅直人氏が総理大臣を辞する条件として掲げた@第2次補正予算案の成立、A再生可能エネルギー特別措置法案の成立、B特例公債法案の成立を、成し遂げたことには賛辞を贈りたい。この3法の成立がなければ、与野党の不毛な争いが延々と続くところであった。四面楚歌の中で、よくぞ批判に耐えたものだと思う。
 
 三度目の正直という諺がある。党内融和も結構ではあるが、野田佳彦総理大臣には、強いリーダシップの下、東日本大震災の早期復興、福島原発事故の早期収束、併せて日本経済の立て直しに全力を傾注して貰いたい。そして大切なことは、日本のリーダーとして、誇り高い気持ちをいつまでも堅持して貰いたい。
 ドジョウはドジョウの話しは、それなりに説得力があり国内向けには喜ばれたが、国外に向けては何と発信されるおつもりか?
 攻撃されれば命がけで反撃するスズメバチの話しはどうであろうか、と思ってしまうのは、私一人ではあるまい。


この記事は弁政連フォーラム第223号(平成23年9月25日)に掲載したのものです。
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