PF-JPA

弁理士政治連盟副会長就任に
ついて




日本弁理士政治連盟
副会長 松尾 憲一郎


1.はじめに
 本稿を上程する前にすでに弁政連総会にて弁政連副会長を拝命させていただいていたが、改めて、就任のご挨拶を申し上げるに際しその責任の重さを痛感している次第である。
 昨年度、日本弁理士会副会長職を辞して早5か月、すっかり過去の経験として振り返る余裕もでてきたが、昨年度の副会長職にあっては、私自身弁政連活動とは、切っても切れない体験とその狭間に身を投げざるを得ない経験をした。時あたかも弁理士の訴訟代理権に係る微妙な綱引き状態にある中で、単独訴訟代理権への弁理士の悲願の思いが政治的な駆引きの発端となった。しかし、これも円満に解決して新しい付記弁理士が活躍している状況をみるにつけ、あの時我々弁理士の思いを対外的に、特に政治の場に露呈させたことはそれなりに意味のあったことかと考えている。

2.弁理士と政治の場
 このように弁理士の業務活動の場には、好むと好まざるとに拘らず、政治の場の影響が多く介在する。
 この数年の行政、司法改革の嵐の中にあっては、旧来の価値基準がドラスティックに変革し、それに伴い多くの法規改正を伴なう変革も実施されて来た。
 我々の弁理士業務に係る関係法規の改正だけでも、弁理士法を初め、特許法、著作権法、民事訴訟法、関税定率法、裁判所法等とともに関係施行規則と軒並み大きな改正がなされている。これらの法規の改正内容は弁理士業務の枠決めとまさに表裏一体の関係にあり、正直言って昨年の副会長在任中は旧来の弁理士関係業務が遂次広がり決定されていく様を目の当たりにした。
 弁理士の政治活動の一挙手一投足は、そのままこれらの法規改正に影響してくる。たとえば、国会で可決されるべき法案に付帯決議の項目一つが付議されるだけで付帯決議に将来の展望が託されるという状況は、まさに政治の場の攻防戦以外の何ものでもない。
 この攻防戦に弁理士業界の思いを吹き込むためには、弁政連の協力が必要不可欠となる。私はこの状況を昨年度の副会長の在職中に身にしみて実感した。ただ、弁政連の行動に必要な迅速性を表に出すと日本弁理士会の行動規範に沿いきれないもどかしさが残る。

3.弁政連と日本弁理士会との関係の一考察
1)今の弁政連の特徴は、弁政連執行部が長期の任期をまっとうしていることである。これは、功罪種々相反する議論が百出していることであるが、この状況を急激に変えることは即弁政連の活動を有名無実化することに通じると考える。
 もっとも弁政連会長職の繁忙さは聞きしに勝るものがあり、弁政連執行部が単年度の任期で活動することは政治の場で用を成さない危険がある。
 この狭間で弁政連会長の後任人事に今腐心されていることも周知の事実である。
 この問題は、弁政連にとって古くて新しい問題であり、弁政連の内部だけで解決できる問題でもない。弁理士業界全体で考えるべきことであり、日本弁理士会との連携の上で共通の人事ステージが確立することを切に願う。

2)次に、弁政連は、政治行動につき日本弁理士会との明確な連携形態を確立すべきである。弁政連の政治活動は極秘をもって常とするため勢い単独行動に走らざるを得ない場合があることと、相手が代議士であれば緊急活動は当たり前のことでありこのタイミングこそが弁政連活動の真骨頂でもある。このタイミング優先の故に独断専行の謗りを免れない場合が生じる。日本弁理士会の意向と一致する独断専行であれば褒められ、反対の場合はそれこそ大問題となり日本弁理士会会長の首さえ飛びかねない。弁政連と日本弁理士会の連携の重要性は重々理解した上での問題であるから事は厄介である。これは両者の常日頃の連携の上で先を読みきり阿吽の呼吸を持つしかない。
 この点で行き着くところは情報を共有化し、将来の行動の予測を常に確認することであり、そのためには日本弁理士会執行部に弁政連専門のもっと大きなパイプの窓口をつくり更なる活動の協同化を図らなければならない。

3)次に、日本弁理士会の会員に対して政治的な行動力と政治的な人的関係を有する人材の発掘に力をいれることである。6千人にならんとする日本弁理士会には地区部会を含めて優秀な人材に恵まれている。本業にかかわる頭脳の発掘に限らずこのような政治的なコネクションと政治力を有する人材の発掘の重要性を認識すべきである。弁政連の活動がほとんど該執行部だけの能力に依存していることを冒頭に述べたが、これが弁政連の人材問題に端を発する任期長期化の已むを得ない事情の根源となっている。私の経験則から我々業界の中には東京、大阪、名古屋その他の地区で長年活動し政治的な人間関係も持ち合わせた弁理士が多数輩出している。
 このように埋もれた人材情報源を充分に汲み取ることのできる活動を日本弁理士会と共に進めることを提唱したい。

4.あとがき
 野に下って中央を眺めると物事の本質がよく見えると言うが、無責任な立場で思うところを縷々述べさせてもらった。
 今の時代こそ正に弁政連の責任の重要性を認識し、その方向に誤りなきよう願うばかりである。





この記事は弁政連フォーラム第141号(平成16年8月25日)に掲載したのものです。
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