PF-JPA

「科学技術戦略本部」について




日本弁理士政治連盟
副会長 松尾 憲一郎


1.科学技術創造立国を標榜する日本。
 政府は、その司令塔となるべく「科学技術戦略本部(仮称)」を創設する方針が決定した。
 その実現のために、川端達夫文部科学相が科学技術政策担当相を兼務することになった。
 この戦略本部は、科学技術政策の戦略的な決定と、その予算計上と予算の配分を管理する機能を持つ。
 そして、今秋の臨時国会に関連法案が提出される予定であり、2011年から立ち上げる予定である。

2.知財戦略も科学技術戦略本部の機能と重複することは明らかである。
 ところが、現実には、科学技術戦略本部(仮称)に関連する法律の策定はほとんどできていない。
 文科省では、科学技術戦略本部に関連する担当スタッフや枠決めがまだ全く見えない状態である。
 筆者は個人的に科学技術戦略本部の創設策定作業がどの程度進行しているのかを知りたく、民主党代議士に協力を仰いで資料収集を依頼したが、まだ資料らしいものはおろか、創設作業も目に見えるものがない状況であることを知った。
 少なくとも政権中枢にある文部科学相の川端達夫大臣が提唱して創設決定した「科学技術戦略本部」である。民主党政権に移行して早半年、多忙を極める政権であろうが、技術内閣への期待も膨らむ中で「科学技術戦略本部」の創設方針が決定したのなら速やかに枠組を決めて関係者に方針を公表して欲しいものである。

3.我々弁理士業界から見た文部科学省の活動は経済産業省に匹敵する一大活動分野であると言える。
 身近な例で言えば、大学の技術開発や知財活動の支援、工業専門学校の知財支援、産学連携の推進活動、小中学義務教育課程での知財啓発活動など弁理士業務に係る活動分野が幾多と存在する。
 文部科学省主導の科学技術戦略本部がこれらの活動に大きな権限を有することは明らかである。日本弁理士政治連盟としても、進捗に目を凝らしておく必要がある。

4.なお、昨年末に公表された「新成長戦略 基本方針」では、成長を支えるプラットフォームとして、科学技術分野において、「大学・研究機関改革の加速」「イノベーション創出のための制度・規制改革」などを挙げている。
 これらの政策の要となるのが「科学技術戦略本部」であることは明らかである。
 我々は、「科学技術戦略本部」の進捗から目が離せない。


この記事は弁政連フォーラム第207号(平成22年4月25日)に掲載したのものです。
Copyright &;copy 2000 Political Federation of JPA, All rights reserved.
日本弁理士政治連盟 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-4-2,弁理士会館内
E-mail: info@benseiren.gr.jp
Tel: 03-3581-1917 Fax: 03-3581-1890
更新日: