PF-JPA

退任のご挨拶
感謝の念を込めて

Tetsuya Mori
日本弁理士政治連盟
最高顧問 森 哲也


  早いもので、小職が日本弁理士政治連盟会長を拝命してから3年が経過し、無事にその任を全うすことができました。ご支援を頂いた皆様に篤く御礼を申し上げます。

 省みれば、その前の副会長1年から筆頭副会長の3年を合わせると、延べ7年間の活動でありましたが、人生の後半に入り、弁理士としては極めて特殊、だが社会人として極めて有意義な体験をさせて頂きました。

 常に「治国平天下」の視座に立って思考し行動する友人に出会い、弁理士にもこのような人達がいるのだなあ、と感銘を覚え、また、ご理解を頂いた会員の皆様のご支援とその友情が胸に染みたものです。

 自分としても一介の弁理士でありながら、国を動かしたことの数々が走馬灯のように蘇り、まさに「男子の本懐」でありました。

 1995年にWTO体制の成立、これにTRIPsが吸収されて知財保護はグローバルマーケットの基本的なルールとなりました。日本弁理士政治連盟は、これをいち早く察知して、「知的創造立国」「知財立国」を提唱し、その視座の下に数次の弁理士法改正と知財基本法の制定を運動して、その成果をみることができたのであります。
 また、古谷・渡辺両会長の下でありましたが、日本弁理士政治連盟が、「知財・弁理士のsympathizerを!」と、政界に知財議連の結成を促した結果、それは与野党に受け入れられ、小泉政権の「知財立国」政策に繋がりました。

 つい最近では、自民党の中に「弁理士制度改革推進および地方展開に関する議員連盟」を結成して頂き、弁理士制度に特化した強力な応援団の誕生をみたのであります。

 とりわけ、今年2月の参議院憲法調査会で、日本弁理士政治連盟会長として公述人に指名され、「知的創造立国を憲法に!」と提唱できたこと、民間憲法臨調やジャーナリズム、そして自民・公明の両政権与党と最大野党の民主党をも動かしたことは、小職の仕事の総仕上げのような気が致しております。

 知的創造立国が「この国のかたち」として憲法に謳われれば、知財制度の在野中心をなす弁理士制度の社会的地位も、憲法レベルのそれに引き上げられるのであります。

 政治の世界で日本弁理士政治連盟がやったことのすべては、公式団体である日本弁理士会の実績に帰するのであります。日本弁理士政治連盟の人たちは、このことに意義を感じて活動しております。

 改革の嵐が吹きまくっている昨今ですが、知財・弁理士制度も例外ではありません。しかし、日本弁理士会が密なる連携を採っている特許庁は、「法の執行」つまり「行政」であり、改革を旨としません。

 在野知財の中心であるべき日本弁理士会が、その社会的付託に答えて知財・弁理士制度改革を推進していくのにはどうしたらよいのでしょうか。

 答えは簡単です。日本弁理士政治連盟の政策提言機能と活動力とをフルに駆使することで、自らが「政治主導」改革のイニシアチブをとることです。
 それには、私達弁理士全員が、弁理士制度と、その専門である知的財産制度への「政治意思」を持ち、知財を通してこの国を再び日出る国として世界に雄飛させるのだ、という気概を持つことが肝要だ考えます。
 そこで大事なことは、初手から妥協した主張はしないことであります。言い換えれば、下手な遠慮や紳士ぶりは捨てて、明確にかつ強力に「政治意思」の発信をすることであります。

 なおこの際、「前門の虎、後門の狼」の譬えは銘すべきことであります。
 すなわち、弁理士には、その専門性の故に司法に参入して久しい制度的歴史がありますが、その延長線上に、弁理士の訴訟代理権の完全化があります。これは大先輩たちの歴史的総意なのでありますが、それに厚い障壁として立ちはだかっているのが日本弁護士連合会です。また、知財では全くの非専門家なのに「知財は我々の専門だ!」として食いついて来ている行政書士たちがおります。

 仮に弁理士が完全な訴訟代理権を獲得しても、弁護士さんたちとは、訴訟の規模や内容によっては、これまでのように協力関係は続くことは間違いありません。日本弁理士会はこのことをしっかり日本弁護士連合会に伝える必要があります。

 しかし、行政書士には知財の専門性はなく、行政書士法のどこを見ても、国民から知財分野に参入する付託を受けているとはいえません。いま、彼らは、政治方面に無茶苦茶な主張や要求をしながら、弁理士法違反、弁護士法違反、司法書士法違反と、既成事実づくりに猖獗を極めております。私達弁理士は、知財の専門家として、このような非専門家の理不尽な動きには断固たる姿勢で戦わなければなりません。

 後任の加藤朝道氏は、日本弁理士政治連盟と本会の関係史始まって以来の本会会長指名の政治連盟会長です。本会には、加藤氏と「政治意思」でハーモナイズして、「政治主導」で知財・弁理士制度を改革する団体に成長されることを期待します。
 この国の「知的創造立国」のために!多様で優秀な人材が参入して来る「世界一の競争力と夢のある弁理士制度」のために!
 ひき続き、皆様の熱いご支援を、加藤新会長に下さることをお願い致しまして、退任の挨拶と致します。有り難うございました。




この記事は弁政連フォーラム第151号(平成17年6月25日)に掲載したのものです。
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