PF-JPA




新年のご挨拶
(弁理士と法科大学院)

Kato Asamichi
日本弁理士政治連盟
副会長 白 井 重 隆


 新年あけましておめでとうございます。
 さて、昨年12月25日、弁理士能力担保研修後の平成15年度特定侵害訴訟代理業務試験合格者が発表となった。総計553名、いわゆる付記弁理士の誕生であり、新たな弁理士制度の船出である。しかしながら、周知のように、付記弁理士は、弁理士法第6条の2に規定するように、特定侵害訴訟について、弁護士と共同してのみ訴訟代理人になれると規定されているにすぎず、単独訴訟代理人になれない。
 私個人としては、弁理士会は、弁理士法の改正や知的財産基本法の付帯決議の趣旨に基づき、今後、特定侵害訴訟に限定してもかまわないが、知的財産権の侵害訴訟における弁理士の単独訴訟代理権取得へ向けて、幅広く運動を展開していく必要があると考える。
 そのためには、
@弁理士試験制度を抜本的に改革し、例えば、民法、民事訴訟法を必須科目に加えるとともに、代わりに、大学卒業者に対しては、選択科目を免除して、試験負担を軽くする。
A試験合格者には、特定侵害訴訟実務などの新人研修を必須とし、これを弁理士付与の要件とする。
B付記弁理士に対しては、研修により限定解除する、
 などの対策案を講ずるよう努力する必要がある。
 一方、今年度より、全国に法科大学院が開校し、法学部出身者は2年、法学部以外は3年で課程を修了し、平成18年度から新司法試験に移行する。新司法試験の合格者は、毎年、約3,000名が予定されているという。
 ここで、法科大学院では、法学部以外の他学部卒業生を全体の3割まで受け入れる方向にあるという。とすれば、比例計算上、新司法試験の合格者の約3割、約900名は、法学部以外の他学部で占められることになり、そのうちの約半分が理工系学部卒業生で占めるとすれば、年間、約400〜500名程度(少なく見積もっても200〜300名)の理工系弁護士(知財弁護士)が誕生することになり、現在の弁理士の必要性が消滅する恐れがある。
 現に、弁理士の間では、自分達の子弟は、弁理士ではなく、理工系大学を卒業させた後、法科大学院に入学させ、知財弁護士にしようとする動きが雪崩のように起きている。
 日本弁理士会が研修制度を担保する新しい会館の建設とあいまって、弁理士研修にさらにに力を入れて、名実ともに、特定侵害訴訟における単独訴訟代理権獲得を実現するように努力していかなければ、ここ10年程度で実質的に、弁理士制度が崩壊し、弁理士の明日はないと考えられる。
 このような初夢は見たくないのだが、いかがなものであろうか。
 本年も、なにとぞ、よろしくお願い致します。



この記事は弁政連フォーラム第134号(平成16年1月25日)に掲載したのものです。
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