PF-JPA
 
特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議


平成二十六年四月二十三日
衆議院経済産業委員会
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一) 「特許異議の申立て制度」の創設に当たっては、現行の特許無効審判との関係が複雑化するおそれがあることから、両者の相違点等について国民に対して分かりやすく周知するとともに、本改正の趣旨に反して特許無効審判と併存することに伴って解決までの期間が長期化することのないよう、迅速な紛争解決のための運用に努めること。

二) 「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」に基づく意匠の国際登録出願制度の導入に当たっては、利用者に対し、手続内容や留意事項についてガイドラインの公表等を通じて周知徹底を図るとともに、意匠法及び関係法令との整合性の確保や我が国の制度利用者の利便性の向上を図るため運用面を含め適切な措置を講じること。

三) 色彩や音といった新しいタイプの商標の保護対象への追加に当たっては、権利範囲の特定方法や登録要件について早急に具体的な基準を策定するとともに、今回の改正で保護対象とならなかった対象についても、今後のニーズの高まり等を踏まえて保護対象への追加に向けた検討を進める等、グローバル化へ対応するための企業の多様なブランド戦略を支援していくこと。また、地域団体商標の登録主体の拡充に当たっては、各地域の期待の高まりや同制度の地域活性化に果たす役割に鑑み、地域ブランドの積極的な運用のための体制の強化を図ること。

四) 出願前の発明に関する弁理士の相談業務の明確化に当たっては、利用者の利便性向上の観点から、相談内容に応じて弁護士や中小企業診断士等他の専門家との連携を図るとともに、研修等の充実を通じ、弁理士の更なる資質向上を図ること。

五) 「世界最速・最高品質」の特許審査の実現に向けて、平成三十五年度までに「特許の権利化までの期間」と「一次審査通知までの期間」を大幅に短縮する旨の新たな目標が設定されたことも踏まえ、審査官の増員を含め一層の審査体制の強化を図るとともに、新興国の特許文献の提供など、「世界最高の知的財産立国」の実現に向けた取組を強力に推進すること。

六) 知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策のさらなる強化を図ること。

七) システム開発の発注者としての能力向上、外部人材の活用などにより、「特許庁業務・システム最適化計画」(平成二十五年三月十五日)の着実な実施を行い、経済活動のグローバル化や新興国の知財大国化等の環境変化や産業界の知財活動の活発化、多様化に対応できるよう特許庁システムの改善、強化を図ること。
 

この記事は弁政連フォーラム第256号(平成26年6月15日)に掲載したのものです。

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