PF-JPA



「副会長復帰の挨拶」


日本弁理士政治連盟
特別顧問  杉本 勝徳


はじめに
 平成14年4月1日に弁理士会近畿支部長を仰せつかって、支部長就任の条件として3年間努めた弁政連副会長を辞任。そして2年間の支部長を任期満了で辞任して、本年5月に弁政連副会長に復帰する事になりました。この間、森会長の配慮で弁政連の「特別顧問」の肩書を頂戴しましたが、これが支部長として弁理士会の為に活動する際に随分と役にたちました。ただ副会長の肩書の方がもっと効果的だったでしょう。
 弁理士会の支部長に就任すると、弁政連の副会長を辞任しなければならない根拠がよく分からないままに2年が経ちましたが、何故辞任しなければならなかったのかを会則上も含めて改めて考え直したいと思っています。
 弁政連の活動はすべて弁理士会および弁理士の業務推進のためであり、政治思想やイデオロギーと無関係であることは本より当然ですから、支部長が弁政連副会長を兼務してはいけないという論理の正当性はないと考えます。
 2年間の支部長在任中に、近畿地方において政治家と付き合うときに、弁政連副会長の肩書と支部長の肩書が同時に必要な場合が多々あったことを今後の参考にすべきでしょう。

支部長として特別顧問として
 弁政連規約によると、特別顧問の規定は第8条・役員(5)に「顧問(最高顧問・特別顧問含む)若干名」とあり、第12条に特別顧問の職務として「・・・但し顧問のうち特別顧問は、特定分野に対応するために置くものとする。」となっています。
 「特定分野」とは、少なくとも日本弁理士会近畿支部長が「特定分野」職務ということになるのでしょうか。いずれにしても小生如き者に特別顧問の職務を与えられたことに、弁理士としての矜持をしっかり持って対応しなければ、と2年間心を引き締めて支部長と特別顧問の二足の草鞋を履き続けました。
 私が支部長に就任する直前の2月4日は総理大臣が国会の施政方針演説で「特許権」「知的財産権」を国家の重要戦略の一つとして述べ、我々弁理士はその重要戦略の一翼を担うことになり、支部長と特別顧問の2足の草鞋を履くことの重みが増大したのです。
 そして、2足の草鞋を履いて1ヵ月半後の5月16日、早くも試練がやって参りました。自民党の司法制度調査会で大勢の国会議員と最高裁の行政局担当者の前で、東京高裁に知的財産専門の裁判所を設けることをプレゼンで訴えたのでした。

弁理士会が抱える当面の問題
(1)ロースクールの問題
 3年後のロースクール卒業生には法律系の学生ばかりではなく、理科系の学生も多くいるということも伝えられています。そうすると技術の分かる弁護士が大量に誕生する事になり、弁理士の訴訟代理権の必要性が希薄になる危険性があります。
(2)行政書士の問題
 資金力と政治力を背景に行政書士会が弁理士の業務を浸食する恐れがあります。彼らは特許・実用新案以外はすべて業務に取り込む危険性を孕んでいます。
政治は理論や正義それに必要性によって動いている部分と、利害関係者の力関係すなわちパワーポリティックスで動いている部分のあることを忘れてはいけないと思います。
(3)弁理士過疎地と地方活動
 日本弁理士会は本年度から弁理士過疎地域の活動方策を積極的に模索していますが、対応を誤ると前記行政書士の進出を促し、弁理士は全国資格業ではなく都会専業資格となる虞もあります。従って人材と資金を思い切って投入して、弁理士が国家の要請に応えるオンリーワンの資格であることを確りと認識されることが必要です。
(4)特許審査の民間移行と権利の付与
 自民党や政府の競争原理政策導入の一つとして、特許審査と産業財産権利付与を民間に、と言う考え方があります。しかし、極めて強い独占権と排他権を有する権利付与行為を、民間に移管されていいはずがありません。
 審査の一部分を民間に開放することと、行政庁の専権行為である権利付与行為とを同列に考えることはできません。
(5)知的財産各法律の改正
 特許法、実用新案法、意匠法、商標法はもとより、不正競争防止法、関税定率法、種苗法、民事訴訟法それに弁理士法の改正が次々と訪れてきますが、それに充分対応できるように日頃から対策を考えておくべきでしょう。
(6)知的財産国家戦略にもっと弁理士の活用を
 本年中に日本弁理士会所属弁理士が6000名を越え大きな技術集団を形成していますが、政府には知的財産基本法を含めてこの集団をもっと活用すべきことをアピールしなければなりません。弁政連は政界へのアクセスは勿論、経済産業省に止まらず、農水省、文部科学省、法務省そして内閣府から内閣官房に至るまで働きかけることが肝要です。
「弁理士を知的財産国家のサポーターに!」

最後に一言
 弁政連の活動は弁理士会の将来にとって極めて重要であり、弁政連の活動なしでは弁理士の将来はあり得ません。従って6000余名の会員は目先のことだけではなく将来のことを考えて、たった2000万円という行政書士会の100分の1に過ぎない政治資金を、せめて1億円程度になるよう、全員が弁政連に加入し、全員が年会費2万円を納入することが必要であります。



  

この記事は弁政連フォーラム第141号(平成16年8月25日)に掲載したのものです。
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