PF-JPA
副会長就任挨拶 

日本弁理士政治連盟
副会長 矢野 寿一郎


 今後の世界の国々の目指すべき方向を考えた場合に、それぞれの国はどのように変わるか?
  米国は、『金融大国』となる。
  中国は、『商売大国』となる。
  日本は、『技術大国』となる。
 これが最も妥当な、また考えられる未来像であろう。
 それぞれの長所と欠点を比較対比して、今後の将来像を考えると、日本人には、『金融大国』も、『商売大国』も似合わない。只一つ似合うのが、『技術大国・製造大国・物作り大国』である。これしか、我が国が生き残る道はない。
 そして、『技術大国・製造大国・物作り大国』を確立する為に、『知的財産権制度・特許制度』が最も重要となってくるのである。
 現代の日本は、『第一次の世界金融大戦争』において、大敗を喫してしまった。現状は戦後処理国である。
 投資の対象を、『不動産と株式』しか知らなかった日本人が、欧米・ユダヤの金融技術に、赤子の手を捩じるように扱われて負けたのである。投資対象は、『騰貴すれば下落するものである。』と初めて身体で実感したのである。日本人は未だ、これまでこの投資の原則を知らない、投機の世界では無垢な幼児であったのである。
 『第二次世界大戦』で負けて、その復興を終え、経済大国となった日本が、貿易黒字で得た有り余る資金を元手に、『第一次の世界金融大戦争』にのめり込み、『不動産と株』だけに、投資資金を集めて、欧米と戦いを挑んだ結果、老練なユダヤ式の金融技術の欧米資本に打ち負かされたのである。
 しかし、それでも『技術大国・製造大国・物作り大国』としての日本は、いささかも傷を負っていないのである。
 米国の商品作りの現場は、全て日本人と日本法人の手助けの元に、行われている。中国においても然りである。確かに、中国における、繊維製品や電子製品の生産量が増加しているが、その根本は、日本の『技術大国・製造大国・物作り大国』の技術の基に、生産が行われているのである。日本人主導の元に、中国が国情を変化させているだけである。
 今後、中国の経済力が向上し、技術力が向上しても、その商売に対する才能が優れ過ぎている為に、物作りに対して、我が国以上になることはありえない。
 日本人のきっちりした正確と、何でもいい加減な精度では納得出来ない国民性からして、『技術大国・製造大国・物作り大国』が最もに似合っているのである。
 『第一次世界金融大戦争』の終結後、略10年が経過して、そろそろ、戦後復興の時代が到来している。これ以上、金融界は落ちる所がない。
 負け犬の金融界に引っ張られて、同罪のように扱われてきた『技術大国・製造大国・物作り大国』の日本も、これからは、この『技術大国・製造大国・物作り大国』しか、生きる道がないことを知り、脚光を浴びるであろう。
 政府が進めている『知的財産基本法案』や『知的財産戦略本部』も、これからの日本の進べき道が、この『技術大国・製造大国・物作り大国』しかないということを明確に証明するものである。
 『地価』も『株価』も、『第一次の世界金融大戦争』の負け戦とショックで底を這っている。しかし、『知的財産の価値』である『知価』は、この10年で一向に下がっていない。逆に、『知価高騰』の状態となっている。
 『パチスロ訴訟』や『青色LED訴訟』や『味の素甘味料訴訟』に見られるように、『知価』は鰻登り状態である。何億円や何十億円という損害賠償額が提示されているのである。
 産業界でも、『トヨタ』や『ソニー』や『キャノン』や『リコー』や『コニカ』のように、バブルの時代に、『不動産投資』や『株式投資』にうつつを抜かさ
ずに、欧米のライバル企業に立ち向かう為に、『技術力投資・知価投資』のみを行って来た企業が、今その投資に対する収穫時期を迎えている。
 今後も我が国は、『技術大国・製造大国・物作り大国』で設けた貿易黒字を、『不動産投資』や『株式投資』に回すのではなくて、そのまま『技術力投資・知価投資』のみに、集中することによってのみ、米国や中国に勝てる国作りが出来るのである。
 これからは、日本の姿の背骨の位置に、弁理士が住み着くこととなるのである。弁理士をもっと増加して、日本の背骨屋台を支えようではありませんか。
 現状で、今後の知的財産権業界の行く末を、以上のように、良い方向に解釈しています。

 これまでも、何度か、弁理士政治連盟の役を仰せつかりましたが、今回は少々、腰を据えて手伝ってみようかなと考えています。
 政治の世界で、知的財産権の将来性と方向付けをする上で、弁理士政治連盟として何らかの役に立てればと、考えています。


  

この記事は弁政連フォーラム第118号(平成14年9月25日)に掲載したのものです。
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