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令和4年1月 日本弁理士政治連盟

経済安全保障とイノベーションエコシステムについて

経済安全保障は、我が国の産業競争力やイノベーション力強化に深く関係する

  • 対象技術の範囲がどのように設定されるかが重要。例えば、技術のデュアルユースの問題は一側面に過ぎないと考える。
  • 我が国における社会課題解決に資するイノベーションの社会実装の重要性。社会実装化支援と経済安全保障との両立を実現すべき。
  • 弁理士はイノベーティブなスタートアップ企業等、イノベーターを支援する存在となる可能性がある。

経済安全保障の4本柱とイノベーション社会実装化支援について

①サプライチェーン

〈内 容〉

重要物資やその原材料の国内供給が滞り、国民生活や産業に重大な影響を及ぼす状況を回避し、サプライチェーンの強靭化を図るための枠組みが整備される。

【意 見】

例えば代替原料技術などは、イノベーションとその社会実装化によって、サプライチェーンの強靭化に寄与しうるので、技術評価・社会実装化支援の仕組みを検討するべきである。

②基幹インフラ

〈内 容〉

基幹インフラの設備の導入等に際し、その重要な機能が停止する状況を回避し、インフラ機能の維持等に係る安全性・信頼性を確保するための枠組みが整備される。

【意 見】

例えばインフラ機能維持技術やインフラ機能分散技術などは、イノベーションとその実装化によって、基幹インフラ機能の維持・信頼性に寄与しうるので、技術評価・社会実装化支援の仕組みを検討するべきである。

③官民技術協力

〈内 容〉

我が国の技術優位性を確保する観点から、官民が連携し、技術情報を共有・活用することにより、先端的な重要技術を育成・支援するための枠組みが整備される。

【意 見】

個々の企業等が投資可能な資金に限度があることを踏まえると、重要な先端技術については、多数の企業(ベンチャー企業だけでなく大企業も含まれる)や大学が共同して研究開発を行い、その結果も共有できるコンソーシアムのような仕組みが必要である。サプライチェーンや基幹インフラの安定化を考慮して重要であるにも関わらずこのような仕組みの構築が民間主導で進まない分野においては、国は、資金や情報を提供するに留まらず、仕組みの構築も主導すべきである。

④特許非公開

〈内 容〉

特許制度を通じた技術流出の懸念に対処するため、イノベーションの促進との両立を図りつつ、安全保障の観点から特許の非公開化の枠組みが整備される。

【意 見】
  • 特許非公開がイノベーターの意欲・熱意を挫く制度であっては本末転倒である。非公開判断の際の技術価値の評価に応じて、実証実験などの事業化支援も検討するべきである。
  • 最終的に非公開と判断される件数が少なかったとしても、非公開要否の判定に数か月~10か月かかるとすると、早期権利化や外国出願の準備にも影響が大きい。詳細な検討が必要な件が出ることはやむを得ないとしても、なるべく多くの出願について、出願前又は出願後速やかに、非公開の対象とならないことが出願人にわかる仕組みを作って頂きたい。
  • 非公開特許出願についての取り扱いはどうするのか?審査をして特許付与・拒絶の処分を行うか?非公開処分に対する意見提出の機会、非公開処分の期間、非公開処分の解除、非公開の条件等。非公開の条件の基準や基本的考え方の開示はなされるのか?
  • 技術、イノベーションとその事業化が重要である。特に、経済安全保障に資するイノベーションに対しては、支援する仕組みを設けるべきである。また、非公開特許(イノベーション)に対しては内容に応じて非公開下であっても、そのイノベーションの社会実装を目指しうる仕組みが必要である。非公開認定となる場合もイノベーション創出企業の情熱を挫くことを避けなければならない。
  • 特許非公開制度は、第1国出願制度とセットで行わなければ、日本出願前に外国出願してしまったり、PCT国際特許出願してしまう抜け道ができるのではないか?
資料はPDF版もございますので、こちらからご覧ください。
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