弁政連フォーラム 第380号 令和7年9月20日
令和7年8月7日(木)
自由民主党の福田達夫衆議院議員による「日本戦略会議フォーラム」が東京プリンスホテルで開催され、福田会長が出席した。
令和7年8月29日(金)
自由民主党の片山さつき参議院議員による「政経セミナーin福岡」がホテルニューオータニ博多で開催され、松尾副会長が出席した。
前回に引き続きAIネタです。現在、産業構造審議会の特許制度小委員会での検討テーマの1つに、AIを利用してなされた発明の発明者についてどう考えるか、というものがあります。このテーマは、ある発明についてAIのみが発明者であると認定されてしまうと、特許を受ける権利の享有主体がなくその発明について誰も特許を受けることができなくなる(従って特許出願がなされることもなくなる)、という帰結にもつながるテーマであり、AIの活用が進んだ社会での特許制度のあり方を考える上で、極めて重要なテーマであると個人的には考えています。
とはいえ、少し前までは、人間が関与しない発明がなされるのはまだ少し先のことだと考えていました。しかし、今年の3月には既に、東京を拠点とするAIスタートアップSakana AIのAIシステム「The AI Scientist-v2」が完全に自動生成した論文が、機械学習分野のトップ会議ICLR 2025のワークショップで査読を通過したとのニュース記事が出ています。(https://ledge.ai/articles/ai_generated_paper_peer_review_iclr2025)この記事によると、The AI Scientist-v2は、研究テーマの選定、仮設の立案、実験の設計・実施、論文執筆の全てを自律的に実行するのだそうです。テーマの選定からやるというのは驚きです。
こういった情報に触れると、まずは情報処理分野から、人間が関与しない発明で産業上価値のあるものがすぐにでも生まれる現実的な可能性があると考えざるを得ません。冒頭の発明者の点も含め、このような環境で産業の発展に資する特許制度とはどのようなものか、ということはしっかり考えていかないといけないと思います。
弁理士の業務が生成AIで代替されてしまうのでは、ということと別の観点からも、悩ましい論点が山積みです。ぜひとも皆様のご指導ご鞭撻を頂けますようお願い致します。
〔副会長 大澤 豊〕
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この記事は弁政連フォーラム第380号(令和7年9月20日)に掲載したのものです。
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